短編
□女の子の日
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神威が中3で不良じゃない、神楽が小5ぐらいの設定
学校が終わってすぐさま家に帰る。
クラスの奴らは部活とかで学校に残っているけど、俺には大切な妹が家で一人で待ってるだろうから早く帰らなきゃ。
足早で家に帰り、ドアを開けると
「ただいまー」
「兄ちゃんッッ!!」
「神楽!?」
俺が鞜も脱がない内に、妹の神楽は俺に飛び付いてきた。
しかも顔は涙でぐしゃぐしゃ。
何があったんだ…?
「神楽、どうしたの?」
「わ…わたし病気になっちゃったアル…」
「っ!?」
病気という単語には、母を病気で亡くしてから反応せずにはいられなくなっていた。
そのために病気=死という概念が俺にも神楽にも深く根付いてしまっている。
ともかく神楽が死ぬ…という思いがインプットされてとにかく焦った。
「か…神楽…」
神楽はぐずぐず泣いていて顔を上げない。
どうすればいい?
ハゲ親父は出稼ぎで中国。
頼れる大人なんて周りにいない。
「神楽…どんな病気になっちゃったの…?」
俺は神楽を少しでも落ち着けるために優しく言った。
「…今日学校から帰ってきてトイレに行ったアル…そしたら下着に血が付いてたヨ」
「え」
「実は最近ずっとお腹痛かったアル…きっとそのせいネ…」
「ちょ、神楽…それってさ」
…生理??
生理…だよね、多分。
保健体育の授業でやったもん、一ヶ月に一回来るヤツでしょ?
「…よかった」
そういうものなら心配はいらない。
とにかく神楽が死ぬ事はないんだから。
「兄ちゃん?私病気じゃないアルか…?」
「うん、それはせ…生理って言ってね。女の子に誰でも来るヤツだよ」
なんか恥ずかしくなってきた…
俺だって生理の事なんてよく知らないんだ。
こういうのは母親がいろいろと教えるんだろうけど母はいない。
神楽には俺しかいないんだ。
だから俺が教えてあげなきゃいけないんだけど…
どうしよぉぉ…
「病気じゃないアルか?…じゃあこういうのどうやって処理すればいいネ。私わかんないヨ…」
俺もわかんない!!
えーと…
「と、とにかく薬局行ってくるよ!なんか生理用品って札見たことあるし」
「え…じゃあ私も行くアル!」
「神楽は家で待っときな、お腹痛いんでしょ?すぐ戻るから」
神楽は見るからにつらそうだ。
こんな状態なのに外へ連れ出せるわけない。
制服のまま、ポケットにお金を入れて鞜をはく。
「…ごめんなさいアル」
神楽はしょんぼりと項垂れて俺を見送ろうとした。
本当、可愛いなぁ。
そんな事気にする必要ないのに。
「そういう時はありがとうって言うんだよ。いい子で待っててネ」
俺は神楽の頭を撫でてから家を出た。