短編

□罪人たち3
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「お前…」

「パパ!!」





銀時の後ろにいた人物。


神流はその人物に飛び付いていった。

「パパ!ママの所に来てくれたんだ!!」

「神流とママを迎えに来たんだヨ」



それは紛れもない彼女の兄神威。

銀時達は状況についていけなかった。

何故神威がここにいるのか。

何故神流は母の兄である神威を父と呼ぶのか…


何もかも意味がわからない。



「おいテメー…何者だ」


沈黙を破ったのは土方だった。

神威は笑顔を絶やさない。

気味が悪い――


「俺?俺は神威。君は…あー真撰組の人かなぁ」

「おま「やめろ」


土方を止めたのは先程まで震えていた神楽だった。

やっと正気に戻ったのか…


「…お前何しにきたアルか、ここへは来るなって言ったはずヨ」

鋭い目で睨む神楽を物ともせず神威はケラケラと笑った。


「怖いなァ、さっきまで自分の娘に怯えてたのに。虎の威を借る狐?アハハハちょっと意味が違うネ。」



神威は神流を抱え、神楽に近付く。


「…一緒に帰ろう?」


「っ…!!」




神楽は動かない。

否、動けなかった。


神威の目は肯定しか許さない、そんな様な目。


「……わかったヨ」




神楽はゆっくり神威へ近付く。

しかしそれを拒んだのは…



「待て神楽!!」



「…そーご」



沖田は神楽の細い腕を掴み離さない。


「…っ離してヨ」

「離さねーでさァ、何の説明もなしに離れるなんてもう嫌なんでィ」



神楽は沖田の目をそっと見た。


自分とは正反対の赤い瞳。

もう戻れないってわかっているのに…




「そーご、私…そーごを裏切ったのヨ」


「……」



「全部話すアル、そしたら…この手を離して」





 
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