短編
□罪人たち2
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神楽は先程の事を後悔していた。
頭に血が上って勝手な事をしてしまった…
それに神流を置いてきてしまったのだ。
「…母親失格アル…」
神流は何も悪くない。
悪いのは私。
いつまでも人に甘えてる子供だから…
「とにかく戻るネ!神流が…」
「…神楽…!!」
背中が一瞬で凍りつくのがわかる。
『そーごっ』
『何でさァ』
『大好きヨ!!』
いつの日か蓋をしていた記憶があふれでてくる。
「……っ!」
振り向かない、振り向いたらきっと私が壊れてしまうから−―
「おいっ!神楽だろ!?なんで返事しないんでィ!!」
「そ…総悟…」
我慢できなくなって恐る恐る振り返る。
そこにはずっと夢に見ていたアイツが立っていた。
「…やっぱり…神楽!!」
総悟――
沖田は神楽を強く抱き締めた。
あの日々と変わらない温もり。
思わず涙が滲む。
「…総悟…勝手にいなくなってごめんなさいヨ…」
「そんな事今はいいんでさァ!お前が戻ってきてくれたから…」
「……」
神楽が地球にいた頃、総悟と神楽は付き合っていた。
周りからも祝福されてとても幸せな二人だったのだ。
しかし神楽が沖田に何も言わず地球を出ていってしまった…
それからの沖田は荒れ狂っていた。
「神楽…なんで何も言わずに出ていったんでさァ」
神楽はそれを言う訳にはいかなかった。
私は総悟を裏切ったんだ。
絶対許されない事…
「私、総悟の所には戻れないアル」
沖田は目を丸くして神楽を見た。
「な…なんで」
「私…宇宙で結婚したネ。子供もいるヨ」
「!!」
ガッと神楽の肩を掴む沖田。
顔はわなわなと震えていた。
「…俺に飽きたんですかィ」
「違うアル!!ただ…」