短編
□傷痕
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「…チャイナ?」
いつもの公園に向かうと、チャイナはぽつんとベンチに腰掛けていた。
いつもあのデカイ犬と一緒なのに…
大方旦那と喧嘩でもして家を飛び出したんだろう。
そう思いチャイナに近づくいた俺は目を見開いた。
−−血
紅い紅い血がチャイナの腕を染め、体から生気を吸いとる。
「何やってんでィ!!」
俺はチャイナの腕を掴み、止血をしようとした。
するとチャイナは虚ろな瞳で俺を見据える。
その瞳の色は恐ろしいほどの青色。
「それ、必要ないヨ」
チャイナは止血のために取った俺のスカーフを見て言う。
何を言ってるんだ、白いスカーフは既に紅く染まっているのに。
「体中の血を抜くアル。そしたら私もう夜兎じゃない。止血必要ないネ」
「何馬鹿な事言ってんでさァ!!んな事したら死んじまう!」
チャイナはスカーフをふり払い右手に持っていたガラスを俺に向けた。
血が付着している点からおそらくそのガラスで腕を切ったのだろう。
「こんな欠片で私は夜兎じゃなくなるネ。もう苦しむ必要ないヨ」
「この血が全て駄目にしたのヨ。夜兎だから兄ちゃんは親殺しした、夜兎だからパピー兄ちゃん殺そうとした、夜兎だからマミー死んだ!」
チャイナの声は痛々しいほど悲しみに満ち溢れていた。
「夜兎」という二文字がどうしてこれほどこの少女を苦しめるのだろう。
チャイナの腕はふるふると震えていた。
「…血を全部抜いたって夜兎から逃げられるわけじゃない」
「……」
「今ここでチャイナが死んでも家族が戻るわけじゃない。お前が死んだって変わる事はない」
「そんなのわかってるネ!…でも私この血が憎いアル」
チャイナの目からは無数の涙が溢れた。
「…チャイナ」
「わかってるネ…こんな事したって何も変わらない事くらい…でも思うネ、夜兎じゃなかったら家族がバラバラになる事はなかったんじゃないかって…」
「バラバラでもお前の中にはちゃんとあるはずだ」
「「!!」」
公園に入ってきたのは…旦那。
「銀ちゃん…」
「ったく馬鹿な事考えやがって」
旦那はチャイナの手を押さえ血を止めた。
「おら」
「?」
「大切な写真なんだろ?」
チャイナに手渡された写真。
チャイナは何を思ったのか涙を次々に流していった。
「…馬鹿アル」
「…本当に馬鹿ネ」
涙がその写真を湿らせていった。
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『神威ー神楽ーっほらこっち向いて』
『マミー兄ちゃんが意地悪してくるネ!!』
『俺何もしてないヨー』
『棒読みだロ!!お前ちょっとは反省するヨロシ!!』
『ほらいいから、はいっチーズ!!』
『チーズ食べたいな〜』
『結局食べ物かヨ!?』
END
り…リストカット…(*゜Q゜*)
神威が出てないんだけど…
原作なら破って捨てるかな兄ちゃん