短編2
□遠い人
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あおい様リクエスト 兄神←沖嫉妬
遅くなって申し訳ありません
チャイナが地球に来ていると、日ごろ目の敵にしている土方さんから聞いた。
「なんで言ってくんねェんですかィ」
「…とっくに知ってると思ったからだよ」
ムカつく。なんで、こんなことを言われなきらないんだ。
本当ならば俺が土方さんに意気揚揚とチャイナの帰省を言いふらすはずだったのだ。
しかしそれも叶わぬまま、今この時を迎えている。
「…今は万事屋にいるそうだ」
「へぇ〜旦那付きでねぇ」
「…テメーまだ引きずってやがるのか」
土方さんは煙草を口から取り重々しく言った。
この野郎も他人に気を遣うのだなぁ、と呑気に考えてしまうような口ぶりで。
「…んな昔の事もう忘れやした」
嘘。真っ赤な嘘だ。
本当はアイツの事を忘れた時なんて一秒たりとも無かった。
初めての想いだったのだ。
あんなに誰かを大切に想ったり気持ちが高ぶったりしたのは。
けれどアイツはそんな気持ちも一言で踏みにじってしまった。
「ごめん…サドの気持ちには答えられないアル。」
散々思わせ振りな態度をとっておきながら、アイツはこんな台詞を吐いて二度と俺の前には現れなかった。
それからしばらくして万事屋の旦那からアイツが宇宙へ帰って結婚した、と聞いた。
「見廻り行ってきやす」
どうしてもいたたまれない気持ちになり、見廻りという名のもとに屯所を後にした。
****
「あれ?サドアルか?」
どれくらい歩いたかわからないが、気がつくと聞き覚えのあるソプラノ声が聞こえてきた。
ゆっくり顔を上げるとそこには女が立っている。
桃色の髪、青い瞳、抜けるような白い肌…
それは何度も頭に思い浮かべていた女の姿だった。
「…神楽?」
「うわ、久しぶりアルサド!!お前もでかくなったアルなァ」
がははと大口を開けて笑う女…もとい神楽は見事な変貌を遂げていた。
露出の多い服をこれみよがしなスタイルで着こなして、以前とは比べ物にならない。
俺の心臓の鼓動が最速で高鳴っている。
なんで…なんで神楽に
「…なんでこんな所にいるんでィ」
「ん?酢昆布買いに駄菓子屋来たのヨ…ほらこれ」
そう言い、チャイナは手に持っていた袋を漁り酢昆布をこれみよがしに見せつけた。
「おばちゃんが安くしてくれたのヨ。久しぶりに帰ってきたからって」
ふふん、と鼻をならしクルリと一回転したチャイナは、昔と変わらないあどけなさが残っていた。
ーー変わってない。
「…チャイナ、オメェ宇宙で何してたんでィ」
「へ?あぁ…まぁパピーとえいりあんバスターやったり…あと…」
「私、結婚したアル」
「……知ってらァ」
言葉と言葉の間が辛い。
チャイナは顔を赤くして俯いている。
…きっとコイツは忘れているんだろう、俺が告白した事なんて。
所詮俺はチャイナにとってそれだけの存在だったのだ。
チャイナが今想っている奴は俺ではないのだ。
「神楽?」
声のした方からは傘を持ち、チャイナと同じような髪と瞳を持った青年が立っていた。
「あ…神威!」
「遅いヨ。何やってたの?」
「酢昆布買ってたら友達に会って、ちょっと話してたネ」
「友達?…誰もいないけど」
「え?だってサドが…」
あんなの、見ていられるか。
瞳が揺れ、鼻の奥がツンとしたのを必死でこらえた。
「…見廻りの続きするか」
END
あおい様!遅くなってしまい申し訳ありませんでしたっ( ;∀;)
嫉妬…っていうかただ総悟が可哀想なだけになってしまった