夢のもつれ
□地球の喧嘩師
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「団長ー、おい入るぞ」
「ん?…なんだ阿伏兎か。まだなんか用?」
なんだとはなんだ。
団長は御自慢のデカイベッドから上半身だけ起き上がらせていた。
…寝起きなんだろうか、全くいいご身分だな。
「もうじき鬼兵隊の戦艦に到着する。さっさと用意しろ」
団長はふわぁ、とあくびをしさも面倒臭そうにベッドから出た。
「…神楽は?」
「嬢ちゃんならさっきすれ違ったぞ。ここに来てたんじゃなかったんですか」
「んー…知らないけど」
「ま、アンタ寝てたみたいだしな。気づかなかったんだろうよ」
「……」
俺は団長の机に散乱している書類を整理する。
すると団長がポツリと呟く。
「夢を見たんだ」
「はぁ?…」
「…遠い昔に捨てたはずなのに」
なんでだろ、と団長は力無く笑った。
その背中はどこか儚げで切なそうで
「…早く用意してくださいよ」
何も言えなかった。