夢のもつれ
□母さん
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温かいなー…
こんなに心地よい気温に包まれたのは何年ぶりだろう。
まだ本当に小さかった頃、母さんとじゃれあって抱きついた時の温かさを思い出す。
そういえば、あの時の母さんはすごく元気だったな。
よく親父と喧嘩していたっけ。
二人とも本気でぶつかりあうものだから家が半壊状態だったし。
くす、なんでこんな事考えてるんだろう?
もう随分前に封印した過去なのに。
ーーきっとこの温もりのせいだろう。
できるならずっとこうして温もりに身を任せていたいな。
戦闘以外で心地よさを感じるのは初めてだ。
そっと目を開けると、オレンジの光の中に人影が見えた。
その人影は長い髪に見覚えのあるチャイナ服を着ていてーー
「…母さん」
でも人影の顔は見えない。
ただうっすらと口元が弧を描いたような形をしていた。
次、後書きです。