夢のもつれ
□母さん
5ページ/7ページ
神威の部屋はかなり大きい部屋だった。
まずドアが二重になっており、絨毯は高級感漂う赤だ。
天井にはシャンデリアが豪勢に垂れている。
改めて神威の地位がどれほどのものなのかを痛感する。
「か、神威ー…?」
だだっ広い室内に神威の姿は見られなかった。
ここにはいないのだろうか?
「…あれ、」
部屋をぐるりと見回していると、奥に一際大きなベッドを見つけた。
そしてそこには…
「…神威?」
大きなベッドに小さくうずくまる体。
よく見れば黒とオレンジのコントラストがうかがえた。
神威はスースーと規則的な寝息をたてて寝ている。
「気持ち良さそうアルなー」
よく見ればコイツ、かなり美形な顔してる。
睫毛は長いし肌色は白いし、脣はふっくらしていて…顔の一つ一つの造作が整っているのだ。
ーー私より綺麗かもナ
ふと、何の気なしに手を伸ばす。
あと数センチ、あと数ミリ…
すると突然神威は私の手を掴んだ。
「え…」
起きてる?
そう思い顔を確認したところ、僅かに口が動くのがわかった。
「母さん…」