夢のもつれ

□家族の形
2ページ/7ページ




何が起きたか一瞬わからなかった。

ただ咲夜が薬を口に入れた瞬間、彼女の体が蒸気が出たように熱くなっていた。



「はぁ…は…っ…!!」


「さ…咲夜…!?」


咲夜の動悸が聞こえてくるようで怖い。



そして彼女のうつろな瞳は前で笑みを絶やさない神威に向いた。




「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


「!!」



そして目にも映らない様なスピードで前を駆け抜けたのだ。


「っ!…予想以上だな」




咲夜は神威に思いっきり蹴りを入れる。

そのスピードには神威も避けきれなかったようで肩からは血が出ていた。




「さ、咲夜っ!」


「うあぁぁぁぁっ!!」




(これが…薬の効用…?)



神威と咲夜は凄まじい戦闘をくり広げる。


咲夜の目は血走り、意識が無いようにも思えた。



ザシュっ!


「っぐ!!…」


「神威!!」



神威は劣勢だった。

いや、咲夜の動きが速すぎるのだ。
もう生物の常識を越えている。


目の前で交差する二人の間を飛び交うのは赤い鮮血だ。

しかもそれは神威のものーー



(そんな…これじゃ神威が…!)



「さく…!」




咲夜を呼び止めようとした所で、私は立ち止まった。



(なんで止める必要があるの?)



死んでしまえばいい、そう思った事は何度もあったのにーー


私がここで黙って立っているだけで、咲夜は神威を殺すだろう。

それは私が望んだ事ではないのか?



「はあぁぁぁぁっ!!!」


「…っ!」



でも…それでも…



神威は…!!





 
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ