夢のもつれ
□交錯
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「あまり人質を興奮させるな」
「…申し訳ありません」
「それぐらいわかるだろう、感情的になられて困るのはこっちだ」
「…はい」
双葉はそれだけを言ってどこかへ行ってしまった。
カツカツという音が耳に嫌に響く。
咲夜は手に隠していたものをマジマジと眺めた。
「…これがあれば…」
これがあれば兄さんの仇討ちができるーー
咲夜は迷いを振り切るように歩みだした。
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まだ震えが止まらない。
咲夜の大切な兄さんを殺した張本人が神威だった。
「信じたくないアル…」
でもきっとこれは真実なんだろう。
神威はあんな奴だ。
人の命を奪う事に一切の戸惑いがない。
そう、あんな奴本来ならば殺されても当然な奴なんだ。
アイツはたくさん人を傷つけて痛め付けた。
家族?そんなのアイツには関係ない。
父を殺そうとし、病気の母を見捨て挙げ句妹まで殺そうとした…
「そう…どうして躊躇するネ?あんな奴殺されてしまえばいいのヨ…」
なのに、なんで
涙が出るんだろう?