夢のもつれ

□交錯
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「あまり人質を興奮させるな」

「…申し訳ありません」

「それぐらいわかるだろう、感情的になられて困るのはこっちだ」

「…はい」



双葉はそれだけを言ってどこかへ行ってしまった。

カツカツという音が耳に嫌に響く。


咲夜は手に隠していたものをマジマジと眺めた。


「…これがあれば…」



これがあれば兄さんの仇討ちができるーー




咲夜は迷いを振り切るように歩みだした。




****


まだ震えが止まらない。

咲夜の大切な兄さんを殺した張本人が神威だった。



「信じたくないアル…」


でもきっとこれは真実なんだろう。

神威はあんな奴だ。


人の命を奪う事に一切の戸惑いがない。

そう、あんな奴本来ならば殺されても当然な奴なんだ。

アイツはたくさん人を傷つけて痛め付けた。

家族?そんなのアイツには関係ない。



父を殺そうとし、病気の母を見捨て挙げ句妹まで殺そうとした…



「そう…どうして躊躇するネ?あんな奴殺されてしまえばいいのヨ…」



なのに、なんで



涙が出るんだろう?





 
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