夢のもつれ
□正体
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重いまぶたを開けるとそこは見知らぬ部屋だった。
辺りは薄暗く何もない。
その部屋の真ん中で私は寝そべっていたのだ。
「どこアルか…ここ」
「やっと目が覚めたか」
「!!」
男の声。
同時に向かいから眩しいほどの光が射しこんだ。
その中にいたのは――
「龍神ぞく…」
白い髪に紅い瞳、そして肌全身を厚く覆う衣服。
それは以前片腕が言っていた条件に全て一致していた。
この状況…
嫌な予感しかしない。
「誰ネ、お前」
そっと傘を手探りで探すが見当たらない。
段々と焦りが生まれてきた。
「ふふ…あの紫の傘なら我々が回収した。丁度今ごろ研究部に持っていかれているよ」
「っ…」
「あぁ、紹介が遅れたね。私は双葉(そうよう)という者だ」
双葉と名乗った男はスラッと背が高く、長髪で中性的な顔立ちをしていた。
「ここは我々春雨第0師団の占拠地だ。君は第七師団長を誘き出すための人質なんだよ」
「…第0師団?人質?何の事ネ」
何かよくわからないような単語が並べられたが、自分が笑えない状況下にいる事は理解できた。
大体私はなんでこんな所にいるんだろう…
記憶を遡らせるとある顔が思いうかんだ。
「…咲夜…」