短編
□罪人たち3
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「やっぱり来てくれた、神楽」
「…当たり前アル」
昨日と同じ場所に神威はいた。
「それで答えは出た?」
気持ち悪い笑顔でにこにこ、
あぁ逃げたい。
「…答えなんて一つしかないネ」
自分が我慢するだけで皆危ない目に遇わなくて済むんだ。
万事屋には書き置きをした。
総悟には…会わなかった。
これから私は兄貴にいいようにされ、一生おもちゃにされるんだろう。
「じゃ、行こうか」
神威は私の肩を掴み無理矢理連れていこうとする。
「……」
不思議だ。
昨日の夜枯れるほど涙を流したのにまた涙が溢れる。
「…ほら行くよ」
さようなら、かぶき町
****
それからは毎日地獄だった。
一人で出歩く事は愚か、何をするにも神威の許可が必要。
無理矢理犯され体はもうボロボロだ。
何回逃げようと思っただろうか、
でもその度江戸の皆の顔が頭をよぎり我慢していたのだ。
もう涙が出る事なんてなくなっていた。
どれだけ地球に焦がれても、どれだけ皆に会いたくてもそれは叶わない。
もう考えるのも馬鹿馬鹿しくなってくるほど私は疲れきっていた。
そして産まれた新しい生命。
女の子だった。
髪や瞳の色は私や神威と瓜二つで本当に親によく似ている。
「名前は神流」
「…神流?」
神威は産まれたばかりの子供を抱いて私に言った。
「そう、神楽が産まれた時母さんが神楽か神流にしようって迷ってたから」
「…そんな昔の事覚えてたアルか」
そんな昔の事を覚えていた神威に驚いたが、母が考えてくれた名前は私にとって特別なもの。
自分の娘を手にとり抱き締めた。
「…神流」
「…うー…」
「…神流…」
「…まー…まー…」
「!!…ママアル…」
「ままー!」
「私が…ママアル、神流」
ポタリと神流の頬に雫が垂れた。
何ヵ月ぶりかの涙だった。
愛しい、
娘が愛しくて愛しくて
この子は私が一生守るんだ、
この子は私だけの子供。
私が全てをかけて守ってみせる――
私はまだ現実を見ていなかった。
to be continue
後書き
まだ続きます…