夢のもつれ
□青と赤
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「ここが俺達の家だ」
表通りに比べ随分と淋しい小道を子供二人についていく。
赤い瞳の子供たちは自分達の言う家につくと再び警戒心をこちらに向けてきた。
「…本当にお前は俺達を殺しに来たんじゃないんだな?」
「だから、何度も言ってるアル。私は殺しなんてしないネ」
そう、と小さく呟いた男の子。
それを見て先程「新羅」と呼ばれた女の子は優しく微笑む。
「お姉ちゃん、私は新羅。この人は私のお兄ちゃんの神羅(かんら)っていうの。さっきはお兄ちゃんが乱暴してごめんなさい…」
そう言うと新羅は深々と頭を下げてきた。
神羅はキッと睨んできたが。
「…私は神楽いうネ。さっきの事は別に謝らなくていいアル」
「…ありがとう神楽お姉ちゃん。汚い家だけど上がっていって」
新羅は今にも壊れそうなボロ家に入って行く。
あんまり生活が安定していないのか…
「ごめんなさい、こんな家だけどどうぞ。…お姉ちゃーん」
新羅は家の中に向かって叫んだ。
どうやら姉がいるらしい。
神羅はというと未だに警戒を解いてはいない。
「お姉ちゃん?あれーいないのかな…」
その時−−
ザシュッッ
「っ!!」
物凄い殺気を感じ、瞬時後ろからの攻撃をよけた。
「…この、悪魔が!!」
「な…」
殺気の主はそう言うと蹴りを入れてくる。
何とか避ける事ができたが危なかった。
「何アルか!?私は何もしてないネ!!」
「小賢しい…兄の命を奪った呪われし種族め!!」
女。
多分私より年上の…
そんな事を考えていれば足を取られ倒れてしまった。
ヤバイ…!!
「やめてお姉ちゃん!!」
新羅の声…
またしてもこの子に助けられた。
「…新羅、何故止める?コイツは夜兎だ。真夜(しんや)兄さんの命を奪った夜兎なのに!」
「…確かに真夜お兄ちゃんは夜兎に殺されたけど…でも神楽お姉ちゃんは何もしてないのよ!?夜兎が皆悪者だなんておかしいよ!!」
「……」
「…離してほしいネ。私は何もするつもりはないアル。新羅に連れてこられただけヨ。」
女は静かに手を離した。