夢のもつれ

□道の先
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「兄ちゃ…神威!!」


目の前にいたのは実の兄、神威。


いや、もう兄なんて思いたくない。
コイツはパピ―を殺そうとして、マミーを苦しめて、私を捨てた挙げ句、傘をふりたおろした張本人だ。

まぁ向こうも家族だなんて思ってないだろうけど…。

「何しに来たネ」


「なんでそんなに悪態ついてるのさ。別に襲ったりしないから大丈夫だヨ。」


「じゃあその後ろにある傘は何ヨ。」


神楽は神威が後ろに構えた傘を指す。


「あははッこれはネ…」


「チャイナから離れろィ」


「「!?」」


後ろから低い声がした。


「沖田!!」

「へー…神楽の彼氏?」

「生憎まだ違うんでさァ、まぁ将来的にはそれ以上の関係ですがね」

「ははッ…神楽、コイツこんな事言ってるけど…」


神楽はぐっと唇を噛み、俯いている。


「否定しないんだ?」


そうこうしている間に神威は神楽に近づいていく。

それはただならぬ殺気を放って…



「お前、何しに来たアルか」


「…自分、というのを解らせてあげようと思ってネ」


すると神威は沖田の方に方向を変えた。



神楽は神威が沖田に手を出すんじゃないかと気が気でないが、その場から動けなかった。



「ねぇ君さ、そんな事言うんなら神楽の事愛してるの?」


「えぇ、愛してまさァ。」


「コイツが夜兎でも?」


「もちろん、夜兎とか何とか関係ねェ。」


「じゃあ君、吉原での事知ってる?」

「は?…」


「!」


「コイツね、吉原で俺の部下を一人凝らしめたんだ。俺の次に強いぐらいかなー、最初はもうボロボロ。当たり前だけどさ。それが何故勝てたか解るかい?」


「…?」

「…やめろ」


「簡単だよ。夜兎の血に目覚めたんだ。覚醒…とでも言うの?部下に聞いた限りじゃ目見開いて血をダラダラ流して手のひらを刃物が貫通しても平気。何もかも忘れてただ殺す事だけを考える…ゾクッとしちゃうネ」


「やめろ!!」





神楽は神威に向かって傘を降り下ろした。


しかし、いとも簡単によけられる。


「ありゃりゃ…やっぱり弱いな」


「うるさい!!」


そう言って傘をもう一降り。

それも避けられてしまうのだが。

神威も避けるばかりでなく神楽に攻撃をしてくる。


そんな二人を沖田は黙って見ている事しかできなかった。





同じ血を分けあった二人。


その血をお互いが流しあうなど、



悲しすぎる。



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