atonement for beautiful sins U

□テープ×指輪×ROMカード
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「指輪の裏に模様があるんだよな。
うかつにはめないほうがいいと思う」


ゴンが取り出した指輪を見て、キルアは指摘する。

「そお?
それってジンがオレに何かするかもってこと?」

怪訝そうにゴンが応える。
しかし、念のためだ、とキルアは軽く受け流した。


「……いや、問題ないよ」

そのやり取りを聞きながら、しげしげと指輪を見ていたルイが徐に口を開く。


え、と2人は思わず彼女を見つめる。
その視線をあまり居心地よく思わない彼女ではあるが、困ったような表情で

「これ、オレも持ってる」

と、その指輪を指差した。


「「えぇ?!」」

「ゲームだよ、ゲーム。
そこでのマストアイテム」


本気で驚いている様子の彼らに軽くあしらうようにルイは説明する。

説明しながら、上着のポケットをまさぐって取り出したのは
彼女の武器である短刀……になる前の形である1cm大の球を数個。

どれだったかな、と呟きながら彼女は説明を続けた。


「ほらこの前さ、オレ変な島にジンに置いていかれたって言ったの覚えてる?」

「「うん
  あぁ」」

「その島がゲーム世界らしくてさ。
そこで、使うらしいんだ」

言い切ってから漸く目当てのものを見つけたのか取り出して変形させる。

刃先に引っかかるような形で、ゴンが手にしているのと同じリングがあった。


それをゴンは見つめている。


「らしいって?」

ルイの言葉尻に違和感を感じたのかキルアが尋ねる。


「ゲーム攻略を目的にしてなかったから。
よく知らないんだよ」

それに彼女は肩を竦めて答えると、短刀をしまい


「ジンが出した条件は半年ただ生き延びろってもんだったし」
そう続けた。


「んじゃ、こっちのROMカード……、そのゲームのものかな」

箱に入っていた残り1つのROMカードを手に取りキルアが呟く。

「小さいけど、何のハードなの?」

キルアの手にあるそれをまじまじ見つめてゴンは首を傾げた。

「知らねーの? ジョイステ」
「ジョイステ?」


やはり、ゴンは知らないのだろう。
名前を聞いても何のことやら、という顔をしている。

「取り寄せてみる?」

その様子では、ゲーム機がゴンの家にはないな、と思ったキルアは提案するような口調で問いかけた。


「うん」

ゴンは頷きながらも、立ち上がったルイに視線がいく。

「……ルイ?」
「電話」


携帯電話を片手に掲げてルイは応えると部屋を出て行った。


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