atonement for beautiful sins U
□帰郷×これから×箱
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慣れ親しんだ道をゴンはキルアに時折説明をしながら
彼らは進んだ。
「そういえばこの辺だったよなー」
池にさしかかった所でルイは昔を思い出すかのように
口を開いた。
「あぁ!!
キルア、あのね。
ルイは、最初釣りを知らなかった」
「……は?」
人差し指を伸ばして、キラキラ目を輝かせてゴンは説明するが
突然そう言われてもキルアにとっては何のことやら、な状況であり
訳も分からずに聞き返すことしかできないのは当然である。
「勿論、サカナ≠ニいうものは知ってたし、実物も見たことがあったよ」
ゴンの言葉を補うように彼女は後を引き継いだ。
「それを生で食べる習慣がある国もあるということは認識していた」
これに関してはハンター試験であった通りだ。
「オレはこの島に来るまで魚そのものは食べたことなかったけどね。
それでも知識は十分で、ウミ≠ニかカワ≠ニかいうのも言葉そのものは知ってた。
でも、魚がそこで泳いでて棒一本で釣る≠チて
ゴンから教えてもらった時は本気で驚いた」
「だからさ。それなら、やってみよう、ってなったんだ」
「結果、どういう理由かは分かんねーけど
落ちたんだろう?
2人して」
「…………」
あっさりと結末を言い当てたキルアに
超能力?、と言葉には出していなくとも言っているかのように
笑顔のまま固まるゴン。
「分かる、っつうの。
むしろ、ありきたりなパターンだよ!」
それ以外のオチはないだろ、とキルアはゴンの額をピシッと指弾した。
「で、原因は?」
「直接の原因はオレだな。
ムカついてゴンを突き落とした」
次に唖然とするのはキルアだった。
「で、池から顔を出したゴンに足首引っ張られて
オレも落ちたな」
キルアの隣では回復したゴンがヘラヘラと笑っていた。
「……何でか聞いても?」
キルアにしたら、別にどうでもいいことなのは
百も承知なのだが、今の2人≠フ関係しか知らない彼にとっては
ルイがゴンにムカついて、さらには突き落とすということは想像出来なかった。
「信じらんないかもしんないけど
出会って半年くらいはオレら仲良かったなんて言えなかったんだよ。
その時は漸く心開いていったくらい?、で。
どちらが多く魚を釣れるか、っていう遊びをしてたんだ」
「それに、負けて頭にきて突き落としたのか?!」
キルアの読みは正にその通りで
ルイはそれにウインクして応えた。
「ま。オレもまだ子どもだったってことだよなー」
空を仰ぐようにルイは言う。
「でも、大変だったのはその後だよ」
落とされたことに対して何の怒りも感じてなかったゴンは
今もそれは変わらないようで。
「ルイったら、濡れたままの状態でいたみたいで
熱出して寝込んでたよね。
しかもそんなことがあったのは1度や2度じゃないよね」
もう、この際だから言うけど水に濡れた状態を放っておいて
身体を冷やすのは風邪を引くから止めてということを何度、注意したか……。
と、今更ながらの説教には彼女もたじたじで。
「でも同じ状況だったゴンが風邪1つ引かないってのも
おかしいよね」
「そーゆうの、逆恨みっていうんだぜ」
ズバッとキルアに言われたルイはぐうの音も出ずに撃沈した。
まぁ、数分後にはまたくだらない与太話で盛り上がっているわけではあるのだが。
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