atonement for beautiful sins U

□帰郷×これから×箱
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苦笑ぎみでルイは言葉を続ける。


「勿論、オレの言動に問題なかったわけじゃないんだけど。
ゴンなら、気にしないだろうと。
単刀直入に直接オレには聞かないだろうと油断してた。
そんなことはないと分かってたはずなんだけどな」


「あんた、ゴンに言うのは凄く嫌がってなかった?」

ミトは不思議に思ってか眉根を寄せた。

「ゴンだけじゃなくとも、バレなければ
誰にも言いたくはないよ……。
でも、教えてと請われれば断る理由はないさ」

その相手がゴンなら、なおさら。

ルイは困ったように低く言う。

「……そう」


「ルイー!!
あがったよ。次、どーぞ」

しんみりとした空気を突如、ぶち破ったのは。


「ゴン。
……いや、もうすぐご飯の準備終わるし
オレはそれ終わったら入るよ」

笑顔でルイはそう返した。


***


「いただきまーす」

ゴン、キルア、ルイに
それから、ミトと彼女のおばあちゃんとで
食事が始まる。


他愛ない会話で食事は進み、話はハンター試験の時のこととなった。


「あぁ、ゴン。
そういえば、あんたはどうだったの、試験。
楽勝?」


思い出したようにミトが尋ねた。


「そんなわけないよ。
やっぱり大変だった。
会場までたどり着いたのがたった400人くらいで
合格したのその中の8人だもん」

「へぇ?」

ゴンの話を聞いて、ミトは横目でチラリとルイを見たが
その彼女は涼しい顔でスープを飲んでいた。


「そうそう。
これがハンター証」


そう言ってゴンはそれを渡す。

「ふーん」

と受け取ったミトはそれを曲げた。

予告なく、そのまま折ってしまうかのように。


「「わ――
  お――」」

それには2方向から、声があがる。


ミトから、急いでハンター証をひったくったゴン。


「なにすんだよー。もう。
それにルイ! 感心しないでよね」


ルイはビシ、と彼に指まで差されて


「いや、感心はしてねーよ?」

小首を傾げ。

「それ、お前。
本気で言ってる?」

とキルア。


そんな感じでわいわい食事を終えた。


結局は、ミトがハンター証を折ろうと曲げたのは
冗談だ、ということで片づいたが


「アレ、ゼッタイ本気だったぜ」

と確信するキルアに
ゴンもうん、と大きく頷いた。

「ルイ。
オレたち森に行くけどルイは?」

家の玄関先。

石畳の上に直接座ったルイは野良猫と戯れていた。

シャワー浴びたばかりなのに……。
と非難する人は残念ながらここにいる人たちの中にはいない。


「んーー……。じゃあ、夜まで」

ルイが立ち上がると猫は鳴きながらどこか茂みに
飛び跳ねていった。


「お弁当作ろうか?」

タイミングよく、ミトが窓から顔を出す。


先のルイの様子に非難するとすれば彼女だからだ。


「いいよ。
森で何か採って食べるから」


3人は雑談で話を弾ませながら
森へと入っていった。


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