atonement for beautiful sins

□魔獣×案内×凶狸狐
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その会話から、約2時間後……。

「やーっと、ついたぜ」

「ここ?」

「たぶんね」

「やけに静かだな」


レオリオが第一声をあげ、ゴンが尋ね ルイが答える。
それからクラピカが周囲をめぐらした。

レオリオがドアを2回ノックする。
……しかし、返事は無かった。
流石に、怪訝な雰囲気が彼らから伝わる。


「留守か? 入るぜ……?」

ドアノブに手をかけ、鍵がかかっていないことを知ったレオリオはドアを開けた。
中に足を一歩踏み入れようとして、だが、先に見えた光景に驚愕の声をあげる。

何事かと、異変を察して一瞬遅れて中を見た3人も息を飲んだ。


「「魔獣!!」」

魔獣と呼ばれる生き物が恐らくこの建物の住居人を襲っている。
そんな事態に出くわしたのだ。

みんながいっせいに武器を取りだしたのは当たり前のことだろう。

ただし、ルイ以外。
何故か、面白げに彼女はその様子を傍観していた。
しかし、この事態であるから彼女のその行為を気に掛ける人はだれもいない。

武器を出した彼らを嘲笑うかのように魔獣は女の人を抱え、窓を割って出てきた。

身を伏せる彼らを飛び越えた魔獣は、何故か突っ立っていたルイをも抱きかかえる。


「!! 助けなきゃ!」

「レオリオ。けが人を頼む」

「おう! 任せとけ」

2人の人を抱きかかえて逃げて行った魔獣を追うべくゴンとクラピカは急いで駆けだした。



「ねぇ。何のためにこんなことしてるんだ?」

魔獣が勢いのあうスピードで駆けていくから風を受けて、靡く髪を鬱陶しそうにしながらも
ルイは魔獣を見上げて尋ねる。


「オレたちを試してるつもり?」

気に食わないな、とさも言っている口調ではあるが、行動ではまったくと言っていいほど無抵抗のルイ。
そんな彼女にただ二ィ、とただ魔獣は笑うだけだった。


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