atonement for beautiful sins

□試験?!×旅立ち×出航
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―クジラ島
その島の大きな木の上に少年が一人。

それを離れたところで見ている者が一人。

少年はじっと木の上で待ち続ける。
手には釣り竿を持って
その瞬間を……。


突然カッと目を見開いたかと思えば
「来た来た来た来た来た―――!!」

と何やら大声を上げて、興奮入り混じる様子で竿を引いた。

なんとその少年は沼の主を釣り上げたのだ。
それを見て騒ぎたてている人曰く大人5人掛かりでも釣れないらしい。

少年が沼の主を釣り上げた理由はただ1つ。
ハンター試験の申し込みをしてもらうため。

「さぁ。約束通り、主を釣り上げた。今度はミトさんが約束を守る番」

少年の前には一人の女性。名前はミトというのだろう。
ミトは渋ったような顔で少年を見る。
何度か言葉が交わされた後、ミトは登録証にサインした。

「よかったな。ゴン」

見ていたギャラリーが少年に声をかける
少年の名前はゴンというらしい。


それを遠くで見ていた者。

その者は愛おしそうにまた、覚悟したような眼差しで
その様子を見ている。

「ねえ、ルイ……」

その者の隣には女がいて、彼女は徐に声をかけた。

「ゴンがやってくれたね。ルイ、ずっと待ってたもんね」
「そうだな……。ようやくだ」

ぼそりと、その者、ルイは呟いた。

「ルイも行っちゃう……?」

不安そうな彼女にそれでも、ルイは誠意を見せようとする。
ゴンに向けていた視線を目の前の彼女に向け
そして、美しく笑んだ。

「ごめんね。オレはゴンのそばにいたいんだ」

彼女は悲しそうに俯いた。


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