atonement for beautiful sins U

□テープ×指輪×ROMカード
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箱についている差し込み口にゴンが
ハンター証をいれるとその箱は見事に開いた。


「ビンゴ!」

それを見て、キルアが言う。


「中身は?」

ルイが短く尋ねて、えーっとね、とゴンが応えた。


「テープと指輪と……?」
「ROMカード、だろ」

詰まったゴンのあとをキルアが受け継いだ。


「……んー。じゃあ、まずテープ聞いてみる?」


少々考えてゴンは提案し、それを予想して
先に動いていたルイが、すっ、とラジカセを差し出した。

ありがとう、と礼を言ったゴンに続いて
キルアがルイに要求する。


「ルイ、ダビングできるテープってある?」

「え? ダビング?」

それに反応したのはルイではなくて
ゴンであって、彼は首を傾げた。

「念のためさ」

「はい、キルア」


棚を漁って、空テープを出したルイは
それを放ってキルアに渡す。

渡す前に数秒その空テープを見つめ、何かをやっていたようだが。


「サンキュ」


***


テープに入っていたのは、ジン本人からのメッセージ。


自分に会いたいのなら勝手に探して
捕まえてみろ、というようなものだった。


しかし、テープには巻き戻し・録音、という
念がかかっており見事にダメになってしまったが。


「クソっ。どっちもやられてる。
…………。ルイ、いつまで笑ってんだよ!」

「いやいや、ほんと、用意周到で用心深い奴だな、って」


キルアが窘めるもルイは笑い止む気配を見せない。


「もしかして、ルイ分かってた?」

「まー。あいつからかかってくる電話は録音出来ないから
そうじゃないかな、とは予想してたよ。
だから、ダビング用テープに念を受け付けないような念をかけてみた」

まぁ、見事に跳ね返されたようだけど、と苦笑して彼女は続けた。


「でも、何でそこまでする必要があるのかな」


「そりゃあ、手がかりを残したくなかったんだろ」


ダメになっているテープを宙に投げ、掴む、という動作を繰り返しながら
キルアは言う。

「音声だけでもかなり情報を得られる。
それに、警戒しているのは念能力だと思うぜ」


「あ、なるほど」


彼の言葉にゴンは納得し
確かに、とルイが言葉を継ぐ。


「声を聞いただけで、望む全ての情報を手に入れることができる
という念能力がないわけでもないな。
それが、特質系であればほんと、条件次第で何でもありだからさ。
兎に角、生半可なやり方じゃあジンは捕まえられないってことだな」


「手強いな」

「うん」


ルイとキルア、2人の言葉を受け
何を思っているのか、固くゴンは頷いた。


「残ってんのはあと2つだな」

「そうだね。指輪とROMカード……」


箱から取り敢えずゴンは指輪を取り出した。


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