■アンドロイドは氷女子の夢を見るか
□■当意即妙
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≫発信メール1件
≫発信者:ソルジャー統括ラザード
宛 先:ソルジャー2nd名無しさん
本 文:ソルジャー名無しさん、至急、統括執務室まで来られたし。以上
「名無しさん、これを、総務部調査課タークスのツォンに届けてくれないか?」
「了解です」
ラザードから、封筒を受け取る。
「タークス、ツォン副主任ですね」
「ああ、手渡しで頼むよ。よろしく」
コンコン、
「失礼しまーす」
ドアを開けると、無人の室内。電気もつけっぱなし。雑然としている。
「あのー。治安維持部、ソルジャー名無しさんですー」
「なんだー?」
突然、背後に人の気配。びっくりしてふり返る名無しさん。
ネクタイの結び目が目に入り、目線を上にあげると、浅黒い肌、
スキンヘッドにサングラス。
・・・こわっ!
「えええーと、ラザード統括から、ツォン副主任にお渡しするように、
言いつかってきました。」
イカツイ見た目に驚きながら、名無しさんは封筒を見せる。
「ご苦労。渡しておく」
イカツイ見た目の男性が、封筒を受け取ろうとする。
「あのっ、手渡しでと言われていますので。主任は?」
「今、席を外している。オレはタークス、ルード。お前が名無しさんだな」
「はい。そうです。名前、どうして?」
「それはだな、と」
声のした方を見ると、死角になっていたソファーの背もたれの陰から、
赤い髪があらわれた。
「ふぁ。ラザードの部下で女は一人。新しく配属された、
噂の名無しさんだけだからな、と」
欠伸を噛みころし、伸びをした男はニッ、と笑いかける。
「タークス、レノ、だ。よろしくだぞ、と」
「名無しさんです。」
ぺこりと頭を下げる。
「だから、知ってるぞ、と」
「あ、そうでした。えへ」
つかつかと、名無しさんのそばまでやってくる。
「急ぎなら案内するぞ、と」
「お願いします」
並んで廊下を歩く名無しさんとレノ。
「あの人らも、すきだな、」
「?何がですか?」
「その中身、何か知ってるか?」
「さあ?手渡しだから、大事なものなんですよね」
ニヤリと笑うレノ。
「大事な、コレクションだぞ、と」
「コレクション?」
「前世紀に流行った、ドラマのアーカイブス」
「!」
ここにも、昔のテレビ愛好者がいらっしゃいました。
偉いお二方は、海外ドラマがお好きなようでいらっしゃいます。
趣味に部下を使うなよな・・・と思いながら歩く。
「そういえば、どこに向かってるんですか?」
「ライブラリ。
任務一緒になる事もあるぞ、敬語、使うなよ、と」
「え、あ。そうですか。どっちも了解です」