■アンドロイドは氷女子の夢を見るか

□■食欲魔人
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「わーい。おっ昼っご飯っ」
「毎食、呆れるほど楽しそうだな。」

社員食堂に姿をあらわした、セフィロスと名無しさん。





任務中の負傷で、左手を固定している名無しさんのため、
セフィロスは、なぜかよく、行動を共にしている。

そして、毎食の食事量を見て、あきらめ気味に、こんなところも
可愛いといえなくもないと、思っている。

「あたりまえじゃーん」





そうそう、入院中の『好き』の件。

おおざっぱな、名無しさんの思考回路の中では、
セフィロスは『好きだから、守る』と言っていた。

私も『みんなが好きだから、私も守る!』と、博愛主義的に、
ざっくり理解してしまったらしい。

頑張れ、セフィロス!





「あ、セフィロス。私、今日、カレーの気分。カツカレー(大)。
 エビフライ1個トッピングで。サラダは海藻のやつね。
 ツナサラダもいいなぁ」

最初は、片手でトレイを持てる、と言い張っていた名無しさんであるが、
セフィロスが持つと譲らないので、お任せすることにしている。


ここ数日、当たり前になってしまった、セフィロスのトレイ二枚持ち。
こぼさず、ふらつかず、ぶつからないのは、ソルジャーとしての、
鍛錬のたまもの、であろうか。





「ザックス、発見!セフィロス、ここねー」

「げっ!名無しさん(汗」
声に反応し、ザックスが、顔を上げると、にっこり笑顔の名無しさんと、
トレイを左右の手に持っている英雄。かなりシュールな光景である。


セフィロスの右隣に、名無しさんが座り、向かいの、ザックスとカンセルに声をかける。

「いいかな?ここ?」

…座っといて聞くなよ、と、一言突っ込みたかったザックスであるが、
セフィロスもいるので、黙ってうなずいた。

隣のカンセルは、若干緊張しているようである。



「いただきまーす」
名無しさんは、負傷してない右手で、合掌のポーズ。

「・・・・」
セフィロスは、黙って、手を合わせる。



ちなみに、セフィロスの献立は、本日のA定食。
鳥もも肉のバジル焼き、ホウレンソウソテー。ミネストローネ。
ごはん(大)。マカロニサラダの小鉢を追加している。


「セフィロスの鳥肉、美味しそうだね」

愛しそうに、鶏肉を見つめている名無しさん。

セフィロスは、鳥肉バジル焼きを、1切れ名無しさんのカレー皿の
空きスペースに乗せる。、

「ありがとー。だからセフィロス好きさっ」
「ああ」
と、セフィロス。心なしか、耳が赤いようである。

「私のも、1切れ、お味見、あげるね」
と、カツを1切れ、皿に乗せる。

「あ、ザックスもカツカレー(大)だ。しかも、エビフライ3個のせ?
 うん、まあ、いいや。カレーは飲み物じゃないから、よくかんで食べてね」

と、いいつつ、エビをさらおうとして(やはり、さらうのである)手を止める。


「野菜…ないじゃん(怒」

「ああ、やっぱ肉だろ。ナルトの歌であっただろ『ロースはお野菜』ってさ」
(ザックスは、懐かしアニメのアーカイブス愛好者のようである)

エビを取る箸が止まったので、安心したのか、ザックスは、
スプーンをマイクのように持ち、一節を歌う。

「あったよ!確かに!でも、実際『ロースはお野菜』でも
 『お寿司はデザート』でもないのよ!」

「そうかー?」
ザックスは、カレーをわしわしと頬張り、飲み込む。

ほぼ丸飲み。
まさに、同じ歌に出てくる歌詞。『飲みきりカレーライス」である。

「くーーーっ!うましっ」
「あっ、こら。せめてちゃんと噛んで食べる!」

さらに面白がって、流し込むようにカレーを食べるザックス。

「ザックス!噛めーっ!」




あまりに大声だったため、食堂のざわめきが止まってしまった。

「名無しさん。」
たしなめるように、セフィロスが言う。

「う・・お騒がせしました」
名無しさんは、立ち上がり、頭を右手で書きながらぺこりと頭を下げる。

小さな笑いの後、徐々にざわめきが戻ってきた。


「ちょっとー、ザックス!ちゃんと味わって食べてよ」
懲りたのか、小声で話しかける。

「味わってるよー」
「それに野菜。ほら、カンセル見てよ。ちゃんとヒジキ食べてるよ」

カンセルのトレイには、ザックスと同じ内容のカレー、と、ヒジキの煮物の小鉢。

「オレ・・・自分ヒジキ好きなんっす」
セフィロスの目を意識してか、カンセル、敬語である。

「体にもいいしねーっ。ザーックス。見習いなよ」

と、いいつつ、ツナサラダをザックスのトレイに乗せる。

「はい、どうぞ。私のオゴリ。切り干しじゃないし、食べるよね?」

「うう。はい。有難くいただきます」
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