修行部屋

□〜2015年1月
1ページ/1ページ

【1000hit】キリリクの続き設定。ただのEROです。 一応R18でお願いします。



妙なところで腰が軽く、自ら茶房の門を閉めて椅子に戻ったマクシミリ アンをちら、と見やって、飛はため息をついた。 店の主である玲泉が寝込んでいるため、もともと今日は早めに店じまい をするつもりではあった。とはいえこんな形で邪魔が入ろうとは思って もみなかった飛である。

「まだ帰らないつもりか?」

端から見れば濡れ場にしか見えない、あんな場面を客に見られては、 後々どういう噂になるものやら。うんざりと天を仰いだ飛の口調は、つ いきつくなる。

「つれないな、花路。こうして客も締め出して、今度こそ二人きりだ。 お楽しみはこれからだろう」

二人きりだぞと愉しげに笑う相手を見上げて、飛は眉をしかめる。止め 直した紐子を外そうと性懲りもなく伸びてくる手を、ぱし、と払いのけ た。 きつく睨みつける眼差しに、マクシミリアンがくっくっ、と笑う。

「強情なことだ。だが、わたしの前で、この肌を隠すのはよせ。それは わたしのものだ」

「……勝手なことを」

「わたしのものだと誓ったはずだが」

この口で、と、長い指が無遠慮にくちびるに触れてくる。 そのままくちびるを割り開かれて、噛むこともできず仕方なしに口中に 受け入れた。

「……そんなことを誓った覚えはない」

「ほう? おまえはわたしのものだと、健気な台詞を聞いたような気がす るが」

器用な指先に舌を弄ばれる。 おのれのものでない何かが内に触れてくる感触が、幾度となく重ねた夜 を思い出させて、

「そ、れは……こんな意味じゃ……ない」

どこからか集まってくる熱を逃がそうと、緩くくびを振った。

「ならばもう一度覚悟をし直せ。おまえがどんなつもりであれ、――もう 遅い」

脅すような台詞と低い美声に、ぞくりと背筋が粟立つ。 たとえば神龍に喰らわれるまえの犠牲は、こんな心持ちがするものだろ うか。

たとえこの身がどうなろうと、

求められ、その血肉となれることが。

容赦のない爪と牙によって与えられる痛みさえも、快い、と――

逃れられないおのれを知って、飛は目を閉じた。



後ろから親に抱かれる子どものような格好で、膝の上に乗せられた。

冷たい指先が肌に触れてくる。 くちびる。 喉元。 鎖骨をなぶるように辿って、胸の先へ。

体内に埋め込まれたままのマクシミリアンのものが、時折こちらを苛む ようにひくりと蠢く。 貫かれる痛みの中、その生々しい感覚ばかりを追おうとするおのれの身 体の浅ましさに、飛はくちびるを噛んだ。

初めのうちの苦しさにはいまだ慣れない。 けれど、苦痛の向こうにある悦楽を知ってしまった身体は、持ち主の心 を置き去りにして、早く、と先をねだりはじめる。

いっそ、訳も分からなくなるほどに、手荒くしてくれればいいものを。 そうすれば、意識を呑み込むような快楽の狭間から、相手と溶けて混じ り合う歓喜を味わうことができる。

まるで、相手のすべてがおのれのものであるような。

なにもかもが満たされて、納まりきらずに溢れ出すような。

それは、抗いがたい充足だった。

自分はあれを知っている――

思った途端に、じわりと中心に痺れが走った。 力を無くしていたそれが、熱を持って存在を主張しはじめる。

「っ、は……マクシ、ミリアン――」



性急に開かれ、穿たれる苦痛に震えていた身体が、ふるりと揺れた。

見事に彫られた神龍の刺青の下、小さな花芯が鮮やかに浮かび上がる。

「白玉蘭花――……飛蘭、か」

普段は秘された花芯に触れると、切なげに震える喘ぎがこぼれた。 肩に流れる黒髪の合間、朱を刷いたうなじが露わになる。

「……この姿、余人には見せるなよ」

囁かれた言葉の意味は、既に飛の耳には入らない。ただ、その声の低い 響きに、びくりと背を震わせた。 く、と強まった締めつけのきつさに、マクシミリアンが苦笑する。 哀れなほどに震える細い身体を、宥めるように、捕らえるように、腕の なかに納めた。 おのれを求める欲の証にてのひらを触れる。 はやく、とねだって涙をこぼすそれを、ゆるゆると撫でれば、

「ふ、っ……ぁあ!」

白い喉をのけぞらせて、飛が身をもがく。 無意識に逃れようとする腰を強引に引き寄せて、強く、弱く、扱きたて ると、あっけなく上り詰めて身体を強張らせた。 溜まった熱を吐き出そうとするところを、指先で先を締めつけてせき止 める。

「んあ、っ、や」

喘ぐ声音に涙が混じり、いやいやをするように飛が首を振った。

「……そのまま、堪えていろ」

抱え上げた上体を卓子のうえにうつ伏せる。 握ったまま、もう片手で酷いほどに先端を抉り、

「ぁっ、あ! ……や、め……」

ひくり、ひくり、とうしろが弛むのに、ふ、と笑んで、マクシミリアン は腰を使いだす。 弱みならばとうに知っている。 覚えている場所を、容赦なく責めてやれば、望んだ通りに身を悶え、艶 めいた声を上げる腕のなかの相手。

ぞくりとおのれの肌が粟立つのを知って、マクシミリアンは白いうなじ に舌を這わせた。

「辛いか、花路……ならば、好きなだけ啼けばいい」

「っ……!」

卓子に頬をつけて、ものを映さない眼差しを揺らしていた飛が、つ、と 細めた瞳から溜まって溢れた涙をこぼす。

「マ、っ……もう、離……し、」

離してくれ、と限界を訴えるのへ、わたしがそれを聞くと思うのか、と 応えようとして、ふと思いとどまった。 に、とくちびるを歪め、マクシミリアンは飛を縛めていた手指を緩め る。

「っく、……あ、あ――!」

びくびくと跳ねながら吐き出されたものをてのひらに受けとめた。 目が眩むほど、深く絡み付いてくる肉の熱さにしばらく耐える。くたり と力を無くし、忙しい呼吸を繰り返している身体を再び貫き始めると、

「や、ああ! いや……!」

いやだ、と。 抗おうにも痙攣するばかりの身体で、必死に身を起こそうとする飛の耳 元に、低い脅し文句を注ぎ込む。

「許すと、思うか」

「ぁ……っ」

たったその一言に、抗う意志さえも奪われて、あとはもう、責め苦にも 似た快楽に呑まれるだけ。





[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ