【 ポラリスを君と 】
□【1日目の夜:とある日の夜】
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町はいよいよ暗くなり、昼という世界は、あっっという間に、星や月が輝く夜の世界へと姿を変えていった。
昼間は人通りが多かったが、今は少し静かなぐらいで、電灯は巨大な蛍(ほたる)のように、淡い光を放っている。
あるホテルの一部屋。
夜になると同時に、閉められていたカーテンがシャーッと開かれて、泊まっていた者が顔を現した。
夜空を数秒見たかと思えば、満足気に頷いて、くるりと背を向けて歩いて行く。
その者は、星のような輝きを持つ髪と、宝石を思わせる瞳をした、美しい少女であった―…。
【1日目の夜:とある日の夜】 ―夜道は始まりの味がする―
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