【 ポラリスを君と 】

□【0日目の夜:プロローグ】
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ある所に、ごく普通の少年が2人いた。

1人は蜘蛛が大好きな『ダレン・シャン』。

もう1人はオカルトが大好きな『スティーブ・レナード』だ!

2人は本当に仲が良く、サッカーでは無敵のコンビ。


そんな2人の運命を180度変えたのが、“シルク・ド・フリーク”というサーカス団であった。

『シルク』とはフランス語で“サーカス”、『フリーク』とは“異形”の意味…。

臆病者はお断り、というチラシの忠告に関わらず、2人はチケットを手にしていざサーカスへ!


サーカスはその名の通り、狼人間[ウルフマン]に蛇人間…“異形”の者達が勢揃いであった。


特に曲芸グモには2人共食らい付いた!

ダレンは勿論、蜘蛛が大好きだからである。


しかし、スティーブは違った…。

彼は曲芸グモではなく、その蜘蛛を操っている男に目を輝かせた!


何を隠そう、この男は…血を吸って生きる、“バンパイア”だったのだから!!!


ソレに気付いたスティーブは、ダレンを先に帰宅させ、1人でそのバンパイアの元に向かい…何と!

自分をバンパイヤにして欲しいと頼んだのである!


帰ったかと思っていたダレンが、スティーブを助けようとして、不運にもその場面を目撃してしまっていたとは知らずに…。



バンパイアの男、『クレプスリー』はその望みを渋々ながらも承諾し、まずは“味見”をし始めた。

しかし、スティーブの血を吸った途端、クレプスリーは苦しそうに叫んだ。

“血”には、その本人の性格や本能等が反映するらしく…悪意に満ちたその血から、クレプスリーはスティーブを悪魔呼ばわりした。

悪魔をバンパイアにするわけにはいかない、という止(とど)めの言葉も忘れずに…。


ダレンは逃げた。

スティーブを置いて、1人で逃げ出してしまった…。



ソレからは最悪だった。

ダレンはスティーブを避ける事が多くなり、スティーブはそんなダレンに不審を抱くようになってしまった。

そして、遂にその思いが衝突してしまった2人。

最後はお互いに大泣きすると、ダレンはこの溝を埋めようと、スティーブに「良いモノを見せたい」と言って、家に招いた。


“良いモノ”とは………クレプスリーから盗んでいた蜘蛛、マダム・オクタだった!!!

コレにはスティーブも大興奮!

ダレンはスティーブの前で曲芸を披露し、スティーブも楽しそうだった。


―良かった、仲直りが出来て…―


そう思ったのも束(つか)の間。

何と、手違いでマダムがスティーブを刺してしまったのだ!

このままでは、マダムの毒でスティーブは死んでしまう…。


ダレンは彼を救う為、持ち主であるクレプスリーに掛け合う事にした。

解毒剤をもちろん持っていたクレプスリー。


しかし、ソレを与える代わりに、ある“交換条件”をクレプスリーはダレンに言った。


「バンパイアとなり、手下になれ」…と。


何と悲惨な選択だろうか!

この選択は、誰もがそう思うに違いなかった…。


しかし、ダレンの答えは決まっていた…。


答えはそう―…“イエス”だ!!!


こうして、ダレンは人間としての人生を捨てた。

バンパイアであるクレプスリーの手下として、闇の世界に足を踏み入れる事となったのだった―…。



そしてそう…コレから先は、“アナタ”もよぉーくご存知でしょう。


ダレンの運命は瞬(またた)く間に変わってしまいました。

色々と悩んだり、苦しんだりもしました。

そんな中、様々な仲間達にも出会いました。

後からは、信じられない事件も起こりました。

仲間の裏切りや、仲間の死も多くありました…。


そして、この物語の結末[クライマックス]は―――――………。



私達は“ソレ”を知っている身です。

ああ、何度思った事でしょうね…。

もしああだったら、もしこうだったら、と―…。

何度も望み、何度も願い、何度も祈り、何度も希(こいねが)った…。


そうやって何度もソレ等を繰り返し、繰り返して………遂(つい)に…遂に“生まれた”のです。


運命を変える…1つの“希望”が…。


そう、コレは…『ダレン・シャン』の物語が変わる、変わってしまう、変わっていく…。

1人の少女が織りなす、ある者達の運命を変えていく、変える、そんな奇妙で不思議な怪奇小説です―…。






【0日目の夜:プロローグ】 ―星の導きが動き出す―



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