【 ポラリスを君と 】
□【0日目の夜:プロローグ】
1ページ/8ページ
***
ある所に、ごく普通の少年が2人いた。
1人は蜘蛛が大好きな『ダレン・シャン』。
もう1人はオカルトが大好きな『スティーブ・レナード』だ!
2人は本当に仲が良く、サッカーでは無敵のコンビ。
そんな2人の運命を180度変えたのが、“シルク・ド・フリーク”というサーカス団であった。
『シルク』とはフランス語で“サーカス”、『フリーク』とは“異形”の意味…。
臆病者はお断り、というチラシの忠告に関わらず、2人はチケットを手にしていざサーカスへ!
サーカスはその名の通り、狼人間[ウルフマン]に蛇人間…“異形”の者達が勢揃いであった。
特に曲芸グモには2人共食らい付いた!
ダレンは勿論、蜘蛛が大好きだからである。
しかし、スティーブは違った…。
彼は曲芸グモではなく、その蜘蛛を操っている男に目を輝かせた!
何を隠そう、この男は…血を吸って生きる、“バンパイア”だったのだから!!!
ソレに気付いたスティーブは、ダレンを先に帰宅させ、1人でそのバンパイアの元に向かい…何と!
自分をバンパイヤにして欲しいと頼んだのである!
帰ったかと思っていたダレンが、スティーブを助けようとして、不運にもその場面を目撃してしまっていたとは知らずに…。
バンパイアの男、『クレプスリー』はその望みを渋々ながらも承諾し、まずは“味見”をし始めた。
しかし、スティーブの血を吸った途端、クレプスリーは苦しそうに叫んだ。
“血”には、その本人の性格や本能等が反映するらしく…悪意に満ちたその血から、クレプスリーはスティーブを悪魔呼ばわりした。
悪魔をバンパイアにするわけにはいかない、という止(とど)めの言葉も忘れずに…。
ダレンは逃げた。
スティーブを置いて、1人で逃げ出してしまった…。
ソレからは最悪だった。
ダレンはスティーブを避ける事が多くなり、スティーブはそんなダレンに不審を抱くようになってしまった。
そして、遂にその思いが衝突してしまった2人。
最後はお互いに大泣きすると、ダレンはこの溝を埋めようと、スティーブに「良いモノを見せたい」と言って、家に招いた。
“良いモノ”とは………クレプスリーから盗んでいた蜘蛛、マダム・オクタだった!!!
コレにはスティーブも大興奮!
ダレンはスティーブの前で曲芸を披露し、スティーブも楽しそうだった。
―良かった、仲直りが出来て…―
そう思ったのも束(つか)の間。
何と、手違いでマダムがスティーブを刺してしまったのだ!
このままでは、マダムの毒でスティーブは死んでしまう…。
ダレンは彼を救う為、持ち主であるクレプスリーに掛け合う事にした。
解毒剤をもちろん持っていたクレプスリー。
しかし、ソレを与える代わりに、ある“交換条件”をクレプスリーはダレンに言った。
「バンパイアとなり、手下になれ」…と。
何と悲惨な選択だろうか!
この選択は、誰もがそう思うに違いなかった…。
しかし、ダレンの答えは決まっていた…。
答えはそう―…“イエス”だ!!!
こうして、ダレンは人間としての人生を捨てた。
バンパイアであるクレプスリーの手下として、闇の世界に足を踏み入れる事となったのだった―…。
そしてそう…コレから先は、“アナタ”もよぉーくご存知でしょう。
ダレンの運命は瞬(またた)く間に変わってしまいました。
色々と悩んだり、苦しんだりもしました。
そんな中、様々な仲間達にも出会いました。
後からは、信じられない事件も起こりました。
仲間の裏切りや、仲間の死も多くありました…。
そして、この物語の結末[クライマックス]は―――――………。
私達は“ソレ”を知っている身です。
ああ、何度思った事でしょうね…。
もしああだったら、もしこうだったら、と―…。
何度も望み、何度も願い、何度も祈り、何度も希(こいねが)った…。
そうやって何度もソレ等を繰り返し、繰り返して………遂(つい)に…遂に“生まれた”のです。
運命を変える…1つの“希望”が…。
そう、コレは…『ダレン・シャン』の物語が変わる、変わってしまう、変わっていく…。
1人の少女が織りなす、ある者達の運命を変えていく、変える、そんな奇妙で不思議な怪奇小説です―…。
【0日目の夜:プロローグ】 ―星の導きが動き出す―
.