【 神様のキャンバス -Fate/Zero- 】

□【プロローグ 〜問おう、貴女が私のマスターか?〜】
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“聖杯戦争”―…。


ソレは、あらゆる願望を叶える“聖杯”を巡って、7人の魔術師[マスター]と7人の使い魔[サーヴァント]が繰り出す抗戦のこと。

聖杯を手に入れられるのは、7組のうち1組だけ。

故(ゆえ)に、最後の1人になるまで、互いに殺し合わなければならない…。



そして、1990年代の初秋―。

第四次聖杯戦争が、遂に始まることとなった。


…が、今回の聖杯戦争は、どうやら“異例”続きらしく、監督役も驚く事態となった。



綺礼「本来、7人いるべき魔術師[マスター]が…今回は“6人”? 一体、どういうわけですか?」

璃正「“6人でも問題ない事態”が発生したのだよ、綺礼」



聖杯戦争の“監督役”である『言峰 璃正』は、自身の息子である『言峰 綺礼』にそう言った。

冷静な声色に聞こえるが、少なからず彼は驚いているらしい。


未だに状況を把握しきれていない綺礼の横では、優雅に紅茶を嗜(たしな)んでいる男性が1人…。

彼の名は『遠坂 時臣』。

ワインレッドのスーツを着こなす彼は、一口紅茶を味わったあと、難なくその“答え”を言ってみせた。



時臣「もしや、“同時召喚”と“同時契約”を行った者がいる、と…?」

璃正「その通りです」

綺礼「“同時召喚”に、“同時契約”…!? そんなことが可能なのですか?」

璃正「過去にはない異例だ。
   しかし、実際にやってみせた者がいるのも事実。
   今回の聖杯戦争は、類を見ない激戦となることだろう」



2人の話を聞いて、綺礼は珍しくその表情を困惑させた。

彼もまた、魔術師でないのにサーヴァントのマスターとなった、異例である。

どうも今回の聖杯戦争は、過去のものとは一味違うらしい。



綺礼「しかし、『激戦』といわれましても…。
   1人のマスターが2人のサーヴァントを手にしたのなら、彼等が圧倒的有利であることには違いないでしょうね」

璃正「フフフ、いや、そうとも限らんぞ綺礼」

綺礼「?…」

時臣「サーヴァントと違って、マスターは6人…。
   つまりこの状況は、“マスターの枠が1つ空いている”、ということだ。
   7人目のマスターになろうと意気込む者が、その異例のマスターを狙うことが大いに考えられる」



「勿論、この私も例外ではないよ」。


時臣はそう言って微笑んだ後、再び紅茶に口をつけた。



綺礼「…では、その者は他の6組の―…いえ、5組の聖杯戦争参加者と戦うだけでなく、あらゆる“挑戦者”達から狙われる運命にある、ということですね」

時臣「そう…力を持つということは、それ相当のリスクを背負わなければならない」



時臣は、ティーカップを皿に戻す。



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