ゴーカイジャー

□捕われの姫君
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午後の昼下がり―

遅めのランチを食べて、それぞれくつろぎながら午後を過ごしていた。

船長であるあの人。
マーベラスさんはソファーでお昼寝をしていた。

アイム「マーベラスさん。風邪引きますよ」
私はマーベラスさんに毛布を掛ける。

マーベラス「逃がさないぞ。お姫様よぅ」

いきなりの寝言。
急に言われると構えてしまう。



思えば、私とあの人の出会いは偶然だった。
一族ものともザンギャックの手によって壊滅され、私はただ一人森の中に逃げた。

ザンギャックはそれを見逃さなかったらしく、私を見つけ、すぐさま襲いかかった。

その時だった。

「お姫様は俺がいただくぜ」

あの人、マーベラスさんが剣でザンギャックを打ち払い、私を助けてくれたのだ。

敵から逃れ、私は安堵した。

アイム「助けてくださってありがとうございます。お礼がしたいのですが、生憎何も持ち合わせておらず…」

マーベラス「金銀財宝でもくれるのか?ふん。俺がそんなもので満足すると思ってるのかい?」

鋭い目付きで不適な笑みを浮かべる。

アイム「えっ?」
マーベラス「来い!どうせ帰る場所なんかないだろう?」

私は強引に手を引かれた。
今まで私の周囲にいた男性は皆紳士的で、このような乱暴な真似をされた覚えはない。

もしかして、私を助けたのは、私が目当てだったから?

力強い手を振り払おうとしたが、どのみち帰る場所もないし、ここまで来たら、どうにでもなってほしいという気持ちにもなった。

私がつれていかれたのは、大きな船だった。
アイム「大きな船…」
マーベラス「ゴーカイガレオンだ。乗れよ。お姫様」


マーベラスさんの手を取り、船の中に入った。

ルカ「お帰り。マーベラス」
ハカセ「僕たち先に戻ってたよ」
ジョー「で。お目当てのお宝は見つかったか?」

ナビィ「ところで、その人誰だ?」

マーベラスさんの仲間だろうか。機械で出来た空飛ぶ鳥までいる。
マーベラスさんは、ふっと笑う。

マーベラス「残念ながらこの星にはなかった。でも、俺は見つけた。このお姫様を仲間にする」

マーベラスさんの宣言で皆、固まっている。
無理もない。私もいきなりそう言われたのだし、戸惑うしかない。
アイム「私、仲間って…」

ハカセ「そうだよ。いきなり仲間って、このお姫様だって戸惑うだろうよ」

ジョー「いきなりだろう。マーベラスのいきなり、は今に始まったことではないが」

私を仲間にするためにこの船に…

何だか知らないけどワクワクしてきた。
どうせ帰る場所も何もない。

ルカ「ちょうどいいじゃない。私も紅一点に飽きてきたし。よろしくね」
ショートカットの女性が親しみやすそうに私に向けた。

ハカセ「ルカ。君もいきなりだな〜」
ルカ「いいじゃない。彼女、帰る場所もないのだし」
ジョー「俺もルカに賛成だ。大いなる力を探すのに、仲間が多いに越したことはない」

ハカセ「そ、そうだね〜」

マーベラス「そういうわけだ。俺達と旅しようぜ。お姫様」

マーベラスさんは初めて私に笑顔を向けた。
アイム「はい。私、アイム・ド・ファミーユと言います。アイムとお呼びください」



こうして、私はマーベラスさんの仲間となり、船で生活してきた。
かしづかれた裕福な生活から一辺、炊事や宝探し、ザンギャックとの戦いなどワイルドな生活。

でも、ザンギャックがくるまで平穏な生活を送っていた私にとって何もかも新鮮だった。

生きてる、という実感。

そんな日々を与えてくれたマーベラスさんに感謝をしている。

私に与えてくれてありがとう、と…




ふと、目覚めると、アイムが立っていた。

アイム「マーベラスさん。お目覚めですか?」
ダージリンのいい芳香がする。
アイムが入れるお茶は特別香りがいい。

マーベラス「いい香りだな。俺にくれ」
アイム「はい」
アイムが滑らかな手でお茶を入れる。

芳しい香り。そうだ。俺があの時あいつを助けたのは、あいつ自身に惹かれたからだ。

欲しいモノは必ず手に入れる。

アイム、待ってろよ―

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