戦隊全般
□めぐり会えたら
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2011年―
東京の代名詞といえる塔と新たなシンボルとなる塔が見えるオフィス街で、浅見竜也は忙しく働いていた。
かつての便利屋の経験を生かし、家事代行や自動車送迎の会社を興し、軌道に乗り、このご時世において、一部上場の日も近いだろう。
浅見グループの力もあるが、竜也自身の努力もあってのことだ。
竜也(ここまで来るのに長かったな)
ふと昔のことを思い出す。
11年前、父の敷いたレールに反発して家を飛び出し、同時に30世紀から来た4人の若者と出会い、タイムレンジャーとして、現代と未来を守ってきた。
あれから時が経った。
4人と別れて、竜也は浅見家に戻り、父の傍で仕事を覚えながら会社を興し、今に至る。
竜也も今年で35才。
家族をはじめとした周囲から「そろそろ身を固めろ」とか「あっという間に年取るぞ」と言われ、結婚を意識している。
今までなら「まだ結婚する年じゃないから」とか「仕事が忙しいから」と言い訳出来たが、学生時代の友人も結婚式ラッシュで、竜也も考えてしまう。
「一度会ってみたら」とお見合いを何度もしたが、ほとんどの女性は浅見グループを共に支えていくのに相応しいかもしれないが、竜也の心には今一つ、響きあうものがなかった。
竜也「ユウリ…」
30世紀の未来から来たユウリ。
家族をロンダリング・ファミリーに殺され、仇を打つために、共に戦ってきた。
でも、本当は純粋で涙もろいユウリ。
いつの間に恋に落ち、互いを思い合っていた。
―竜也の作る未来を生きるから。
その言葉が今でも耳に残る。
その言葉に恥じぬよう、約束を反故にしないよう、今日の今日まで今を生きていた。
竜也「そう言えば、今度の日曜日に会う女性も『ユウリ』だったな〜」
あまたのお見合いの女性の中で、竜也が見つけたのが、「優里」というユウリと同じ名前の女性だった。
何となくだが、雰囲気が似ている。
今までお見合いなんて気が進まなかったが、会うだけ会ってみようか。
竜也「ユウリ。今頃、いい人見つけたかな…」
3011年―
ユウリ「お見合いか〜」
ユウリは自宅の部屋で、ベッドに寝転がった。
家族に強く勧められ、お見合いをすることになった。
妹のメイなんかは「お姉ちゃんが結婚しなきゃ私も安心して結婚出来ない」と言う始末だ。
両親も妹も心配してくれるのはわかる。
でも、修正される前の未来では家族を殺され、たった一人頑張っていた。
ユウリ「あの時、竜也がいなかったら私は…」
今よりもずっと孤独だっただろう。
最初は自分達の巻き添えになった竜也。
でも30世紀の未来から来た私達4人を助けてくれた。
竜也がいなければ今の未来の平穏な生活もなかっただろう。
多大な犠牲を払った未来。
でも、これからはお互いを忘れて、新たに自分達の未来を生きた方がいいのではないだろうか?
ユウリ「そういえば、お見合いで会う人、マサルさんって言うんだよね」
どこかしらリュウヤ隊長に、竜也に似ている男性だった。
今までお見合いする気になれなかったけど、一度位あってもいいのではないだろうか。
もう二度と会えないなら、お互いを忘れあって幸せな未来を作ろうか。
でも、愛し合った二人が簡単に忘れるなんて出来ない。
でも、もし巡り会えたら、
きっとまたあなたに恋をするでしょう。