睦月
□Die Konversation vom ersten Tag
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「うーん……………」
えと、お久しぶりです。
とかいいつつ、まだ同日なんですけど。
僕、芹沢結衣は、なぜか、知らない世界に来ていました、いえ、来てしまいました。
彼女は、水城花梨さん。
僕を暫く預かってくれるそうです。
「やっぱり、私のじゃ合わないかー。
しゃーない!明日、買いに行こう」
「えっ……でも…」
「大丈夫!必要なものは受け取ってるから。
とりあえず、明日はその服で行くとして、風呂に入った後が問題なんだよ」
僕がこの世界に来た時に持ち合わせていたものは、楽器と、財布、携帯、それから、今着ている私服だけ。
つまりは、私生活におけるもの全てが不十分ってこと。
下着もなければ、服すらないっていう、ある意味危機的状況下。
もうちょっときちんと面倒見てほしい。
僕的にはまだ重要点はある。
譜面もないし譜面立てもない。
メトロノームもないし、リードの替えも、クロスもクリップもない。
スワブはもう取り替える予定だったし、トーンホールクリーナーもキイオイルも、クリーニングペーパーもない。
僕にはこっちのほうも、一大事。
点検日ももうすぐだしなにより。
「…………コンサート……」
も、近かったんだ。
「結衣くん、体調、悪くない?」
「あ、うん、ぜんぜん」
体調は全然大丈夫なんだけど、メンタル面での打撃が強い。
久々のコンサートだし、選抜にも選ばれたのに、出られないかもなんてあんまりだ。
ここにいる間、練習が可能かどうかすら解らない状態だし………。
いっそのこと、大事なものはこっちに送ってくれれば良かったのに…。
「じゃあ、服買う準備しなきゃね!」
「準備?」
「そ。」
そういって棚の中からメジャーと紙とペンを出してそれこそ準備する。
僕のことを目もくれずに動き回る。
「さっ!ちょおぉっとごめんねー!」
「えっ?!ひっやぁ………!!」
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