ZS小説

□紺海のagitto
1ページ/3ページ

紺海のagitato(アジタート)



 その日は、月の光も差さないほど闇深い夜だった。


「ん・・・あ、ああ・・・っあ・・・」
「何声我慢してんだよ、もっと喘いで煽ってみろよ」
「だっ、れが・・・そんなこと、すっ・・・」
「もう限界みたいな顔しながら、必死で堪えて、そそるじゃねえか」


 ゾロの低い声が耳元で唸るように聞こえてくると、背筋がゾクッとして、俺はゾロのモノで突き上げられるよりも感じてイってしまった。
 肩でゼエゼエ息をしている俺から、ゾロはモノを引き抜くことはせず、口端を厭らしく上げると、まだ力を持ったモノを浅く引くとズンと力任せに押し込んでくる。


「ああっ」


 強烈な快楽に押し殺していたはずの声が溢れるように漏れ出た。
 零れる涙に瞳を濡らして、強く睨みつけてやれば、ゾロは嬉しそうに笑って俺を攻め立てた。
 声も出なくなるほど喘いで、もう出すものもなくなるほど出して、体力の限界寸前までゾロは執拗に俺を貫いていた。
 新しい船は俺達二人の声を完全に外へは漏らさずに、この広い部屋で濃い蜜の時間を過ごさせた。
 情事のあとの煙草を吸っていると、ゾロはさらりと俺の髪を撫でた。


「なんだ」
「いや、別に」


 腰もケツも痛くて起き上がれない俺に、きっとこいつなりに優しくしてやろう、なんて想いで触れてきたんだろうが、不器用過ぎて笑えてくる。


「はっ・・・」


 思わず口から漏れ出た笑いを聞いたゾロは、視線を俺に向けてくる。
 何も言わない。
 でも伝わっては来る。
 意外と照れ屋の恥ずかしがり屋のゾロは、誰かに優しくされたり、誰かに優しくしたりするのが苦手で、ごめんなさいもちゃんと言えない。
 そんなゾロが可愛いなんて思えるのは、この世界のどこを探しても俺一人だろう。
 そして、今日の闇の中に溶け込むように、俺の意識は深く落ちていった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ