ZS小説

□水色al dente
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 聞こえてきた声にも驚いたが、その内容にも驚きを隠せない。
 真剣に見つめる瞳に、心が鷲掴みされる。


「ルフィ、お前それ、どういう意味・・・」
「そのままの意味だ。俺はサンジのこと好きだ」
「いや、そりゃ俺だってお前のことは好きだけどよ」


 心がざわめく。
 一体俺は何を考えているんだ。
 さっきまでゾロのことをめちゃくちゃにしたいと考えていたばかりなのに、ルフィに好きだと言われただけで動揺するなんて。
 そして、俺は気づいた。
 誰かに好きだと言われることが、初めてだということに。
 自分から好きだということはあっても、相手に自分のことを好きだと言われたことは一度だってなかった。
 自分自身が今気付いたばかりのことを、ルフィが気づくわけがない。
 これは単にルフィの気持ちなのだろう。


「サンジ」


 色々考えを巡らせていると、間近でルフィの声が聞こえてきて、顔を上げると、すぐそこにルフィの顔があった。


「!!」
「サンジ、キスしようぜ」
「おまっ! 何言って・・・っ!」


 突然唇を奪われ、突き放そうとルフィの肩を押すがびくともしない。
 口内を犯され、息が継げずにだんだん頭の奥がくらくらしだすと、見計らったかのようにルフィの片手が俺の胸の突起を弄り始める。


「・・・っ、や、め・・・」
「気持ちいいだろ? サンジ」


 息が口に触れるだけで、頭の芯が揺らされる。
 ルフィの手が胸からゆっくりと腹をなぞり、ゆるく起ちあがった俺のものに触れた。


「!!」
「反応してるじゃねぇか」
「ちがっ!」
「サンジ・・・」
「やめっ・・・」


 ルフィの手が俺のそれを扱き始めた時だった。


「何やってんだ?」


 低い声が耳に届いて俺はキッチンの入口に視線をやった。
 そこには今一番居て欲しくない人間が立っていた。


「なんだ、ゾロか」


 そう言ってルフィはゆっくりと俺から離れると、ゾロに視線を送った。
 無言でルフィを睨みつけるゾロ。
 気まずい空気がキッチンの中に流れる。
 無言のままどれだけ時間が過ぎたのか、心臓が握りつぶされるんじゃないかとすら思えるくらいの沈黙を切り裂いたのはルフィだった。


「ゾロ、俺さ、サンジのこと好きなんだ」
「!?」
「だからよ、諦めてくんねぇか」


 ルフィの言っている意味がわからず、俺は頭の上に「?」を出しながら交互にルフィとゾロを見る。
 ゾロは片眉をぴくぴくさせながらルフィを睨んでいる。
 ルフィはルフィで譲らないと顔に書いてあるし。
 俺は何をどうしたらいいのかわからず、ただ黙って二人のやり取りを見守るしかなかった。


「ルフィ、お前、自分が何を言ってるかわかってんのか?」
「わかってるさ」
「じゃあ、今ここでぶった切ってやろうか?」
「お前に俺は切れねぇよ」
「上等だ、二度と見れねぇ面にしてやる」


 刀を抜きだしたゾロを見て、ルフィも戦闘態勢に入る。
 そこで俺はようやく自身を取り戻して声を出した。


「やめろ!!」
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