*二次小説*

□落ちる、堕ちる、おちる。
1ページ/1ページ

戯言だ。

狭くて薄暗い、まるで檻のようなぼくの部屋。そこでぼくは、何かを誤魔化すように、全てを誤魔化すようにそう呟いた。だけどそんなぼくの言葉に反応してくれる人なんていなくて、寂しく思ったり心細く思ったりもしたけれど、考えてみればぼく自らが“独り”を望んだんじゃないか、ということを思い出して自虐的に笑った。


大好きな人や、大切な人。
護りたいと思う人や、傍にいたいと思う人。


「師匠!姫ちゃんの宿題手伝ってくれるって言ったじゃないですか!」


黄色いあの子の元気な声が、ふと頭をよぎった。
怖くなって「…戯言だ」と呟いた。


あの子は、まだ生きたかったのかな。
あの子も、アイツも、あの人も。


彼も、彼女も、なにもかも、誰もかれも。


ぼくは全てを壊してしまうのかな。
ぼくは全てを狂わせてしまうのかな。
ぼくは大切な人と一緒にいちゃいけないのかな。
ぼくは独りでいないといけないのかな。




「…愛」





「…愛が、欲しいよ」





明かり一つない薄暗い部屋は、笑ってしまうほど今のぼくにぴったりだった。

黒いな。

暗いよ。

寂しいよ。



「……戯言だ」
















落ちる、堕ちる、おちる。

(その部屋の扉がこじ開けられて光が差し込むのは、)
(今から少し経った、数分後の、お話)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ