SHORT

□マネージャーの本音
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『私…………


……マネージャー辞めるから!!』



青学レギュラーが揃っている部室に響いた声に、全員耳を疑った。





〜マネージャーの本音〜






入り口で仁王立ちしているマネージャーの万南先輩は、フンと鼻を鳴らした。



菊「えっ!?ちょっ、」

桃「どーいう事っすか!?」

手「わかるように説明しろ」


動揺が隠しきれてない先輩達。

まだまだだね。



万南先輩の思ってることなんて、手に取るようにわかる。




『説明、しなきゃわからない?』

不「そうだね」

『仕方ない。説明してあげるよ』



すると先輩はキッと手塚部長を睨んだ。



そこからの先輩は説明し難い程の迫力だった。





『まず、手塚!!アンタは堅すぎ!!ちょっと遅刻しただけで校庭50周!?アンタは試合させる前に殺す気か!!』

手「う…うむ…」

『大石!!何よその髪型!!何を狙ってその髪型にしてるの!?まさか、美容室でセットしてもらってるんじゃないでしょうね!?言ってやるわ、お金の無駄!!』

大「えっ!?それ、関係ある!?」

『次、不二!!アンタは私をこき使いすぎ!!アンタのせいで何度死にそうになったことか…今まで我慢してたけど、もう限界!!ハバネロ入りクッキーを食べた瞬間、色々間違いに気付いたわ!!』

不「残念。美味しいのになぁ」

『次、菊丸!!まず、跳び過ぎ!!失敗して怪我する度に手当てするのは私なんだからね!?何度止めても聞かないし…そういうのを“馬の耳に念仏”って言うの!!』

菊「むぅー、いいじゃんか…」

『次、乾!!もう、色々不満が有りすぎて言い表せられないわ!!まず、人に汁飲ませる前に自分で飲みなさいよ!!死んだらどうすんの!?』

乾「り、理屈じゃない…」

『次、タカさん!!公式試合でバーニング状態のアンタが壊した様々な物、弁償してたの私だって知ってた!?アンタが試合する度、私の財布が悲しいことになってるの!!』

河「ご、ごめん……」

『次、桃!!お願いだから私に食べ物をたからないで!!アンタは知らないだろうけど、今まであげてきたパンやら諸々、私の自腹なんだからね!?必死にアルバイトして稼いだお小遣い、半分アンタのおやつ代に消えてるのよ!!』

桃「えっ!?そうだったんスか!?」

『次、海堂!!…正直、貴方に不満は無いわ。むしろ色々と助けてもらってるから』

海「…フシュゥゥゥ〜…」

『そして最後に、リョーマ!!お願いだから、練習サボらないで!!アンタがいなくなる度、私が探しに行ってるんだからね!?』

越「…ウィーッス」

『…以上の理由から、私はマネージャーを辞めさせていただきます』




万南先輩の表情は、やりきった感で溢れていた。



河「ご、ごめんよ?謝るからさ…」

桃「俺も、今度からおやつは自分で買いますから!!」

不「辞める、なんて言わないでほしいな」

大「ていうか、俺のって理由に入るの!?」



皆必死に万南先輩を引き止めている。


……ハァ、




俺はさっさと終わらせたくて、声を出した。




越「…万南先輩、悪ふざけは程々にした方がいいっスよ」



すると、万南先輩は目を見開いた後、ニヤリと笑った。




『…なーんだ、もうバレちゃった?つまんないの』



先輩達は、何がなんだかわからないといったような顔をしている。




手「悪ふざけ?」

海「どういうことっスか…?」



万南先輩は、ハァとため息をついた。




『今日は、何月何日でしょう?』

桃「え…4月………あぁっ!!」

不「成る程ね、4月1日。エイプリルフールだ」

『フフッ、そういうこと』

乾「では、マネージャーを辞める、というのは…」

『嘘だよ』

菊「にゃーんだ!!ビビったぁ」

『皆の驚いた顔、快感だったぁ!!…それにしてもリョーマ、よく気づいたね』

越「別に…そう感じただけっスから」

『悔しいなー』



万南先輩は、先程の剣幕が嘘のようにケタケタと笑った。


…あ、嘘だったか。




『…という訳で、これからもお願いします』



ニッコリ微笑んだ万南先輩を見て、

やっぱり先輩は青学のマネージャーだ、と実感した。




〜マネージャーの本音〜



桃「でも、嘘とはいえ、言い過ぎじゃなかったっスか?」

『え?アレは本音だよ?』

「「「……え、」」」

『アハハ』

「「「(嘘か本当か分からない…!!)」」」



《END》


2012.04.01
 

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