Don't Look Back

つくことを嫌う動物
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翌日、事はそんなに都合良くいかない事を理解した。


丸「お前、ふざけんなよ」



ガッ!!


『…っ!!!!』



部室に入った途端、丸井先輩に蹴られた。



勢いよく飛ばされた私は立てずにいて、先輩達はそれをいいことに私を次々に蹴った。



『…っ、ゴホッ!!』

生「何故、昨日サボったのですか?」

ジャ「花音が大変だったんだぜ」

真「部活をサボるなど、たるんどるにも程がある!!」


ガッ!!


『…っ、』



先輩達は容赦なく私を蹴り付けてくる。


先輩達のこんな表情、今まで見たことがなくて、そんな表情をさせてしまっていることに強い罪悪感を感じた。


このことを幸村部長達に言ったら、きっと「万南がそんなことを感じる必要はない」って言ってくれるんだろうな。


…暴力が始まっておよそ10分。

こんなことを考える余裕も無くなってきた。



意識が飛びそうになったけど、ふと赤也の表情が見えて、思考がはっきりと戻った。



切「………っ、」


嘲笑うでもない、心配するでもない。


赤也はただ、悲しく、泣きそうな表情をしていた。



この表情が、何を表しているのかは分からない。

それを考える余裕も、今の私は持ち合わせていなかった。



何も面白い反応をせずに、ひたすら暴力に耐える私に痺れを切らしたのか、丸井先輩がロッカーから箒を取り出した。



丸「コイツは、これくらい痛め付けてやったほうがいいんだよ」

『…っ、』



先輩は箒を頭上に構えた。

他の先輩達も、ニヤニヤとその様子を見ている。

赤也は、フと目を反らした。



誰も、助けてくれない。


もうダメだと目をつむった、その時。








「もう、やめんしゃい」



タイミングよく部室に入ってきたのは、仁王先輩だった。



丸「…仁王、何で止めたんだよ」

仁「いい加減にしんしゃい。おまんら、やりすぎぜよ」

真「仁王、俺達のやり方にケチをつけるのか?」

仁「ケチじゃなか。これは制裁でも何でもない、ただの暴力じゃ」



仁王先輩は私の前にしゃがみ、「すまん、もっと早く来とれば…」と、申し訳なさそうに謝った。




生「仁王くんは、花音さんが虐められて、悔しく無いのですか?」

丸「そーだよ!!コイツの味方する意味がわかんねぇ」

仁「…万南は花音を虐めてない。それを知っとる俺が味方するんは当然のことじゃき」

『仁王、先輩…』

仁「おまんらは、今まで一体万南の何を見てきたんじゃ?中1の時から献身的に俺らを支えてくれたんは、コイツじゃ」

「「「…………」」」

仁「万南は、誰よりもテニス部のことを考えとった。誰よりも俺達が傷つくことを嫌った。そんな万南が、仲間を傷つけるはずがなか。…そう思わんか?」

「「「……………」」」



仁王先輩の言葉に、皆黙ってしまった。



仁「何か言わんかっ!!!!




いつもは声を張り上げるなんて滅多にしない仁王先輩が叫んだ。


そのことに皆驚き、息を呑んだ。






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