不思議な国の時間割

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〜4時間目T〜






幸「ここは…」



次に連れて来られたのは、大きな池だった。

…否、小さな湖と言った方が正しいか。



真「ここで何をするのだ?」

ア「ここでは『鬼ごっこ』をしてもらいます」

丸「鬼ごっこ?」

ホ「もちろん、ただの鬼ごっこじゃないけどね」



ホルシアは、自慢気に言った。




ア「4時間目の課題は、この池の中で泳いでもらいます。しかし、この池は一定の時間ランダムな場所に渦が現れます」

柳「渦だと?」

ア「はい。もちろん、飲み込まれたらアウトです。ちなみに今回は特別に、水中でも息と会話が出来るように設定してありますので、安心してください」

切「まさか、1時間ずっと泳ぎっぱなしっスか!?」

ホ「んな訳ないじゃん。そんなことしてたら溺れて全員アウトだよ」

ア「15分まで泳ぐ、15分休憩、最後に15分。計45分の課題です」



そう言うと、アリスはストップウォッチを取り出した。



ア「開始まであと10分です。それまでにあそこに用意している水着に着替えてください」



指差された方を見ると、人数分の水着と更衣室らしき建物が見えた。



幸「じゃあ、行こうか」



俺たちは水着を手にとり、更衣室に入った。




幸「今回は、全員でクリアしよう」

切「もちろんっス!!」

生「仁王くん、ジャッカルくんの分まで、生き延びてみせます」





〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜



ア「皆さん、準備はよろしいですか?」

真「無論だ」



湖に向かって、一列に並ぶ。



ア「では、4時間目を始めます。よーい…スタート!」



アリスの掛け声で、全員湖に散らばった。











幸「広いな…」

スタートから約5分。

ずっと泳ぎ続けているけど、かなり体力が消耗される。

これで15分は、少々キツい。


丸「おーい、幸村くん」



振り向くと、後ろから丸井が泳いできた。


幸「丸井?」


丸井は俺の目の前まで来ると、俺の目を見た。


丸「…あんな、さっきは取り乱してゴメン。俺はアウトになった2人の分まで頑張る。絶対、目を覚まさせてやるぜぃ!」



丸井は、真っ直ぐに俺を見据えて言った。



幸「…そうだな、皆で頑張ろう」

丸「おぅ!…じゃ、俺はあっちに行くから」



反対方向に泳いでいった丸井。

……強いな。


それに比べて、俺はまだまだだ。



目先の光景に捉われて真実を見失い、更に彼女を傷付けてしまった。


こんなの、俺らしくない。

いつもの俺なら、きっと真実を見抜けていたはず。



…あの時、俺の中で一体何があったんだろうか。



それに、もう一つ気になるのは…丸井だ。



彼はどうして、皆を敵に回してまで彼女を信じたのか。


丸井はそれほどまでに彼女を信頼していた。

それなのに他のメンバーは彼女を、裏切った。


一体、どうしてこんな事態になったのだろう…






ピ────ッ!!




俺の思考は、アリスの吹いた笛の音によって停止した。






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