SHORT
□笑>泣
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雨上がり独特の蒸し暑さがある今日、私たちの夏が終わった。
全国大会準々決勝、私たち氷帝学園テニス部は、同じ東京代表の青春学園と当たり、3-2で敗北した。
なんとも言えない空気の氷帝の応援団。
レギュラー含むテニス部員はそれぞれの感情を表情に表している。
苦虫を噛み潰すような顔の人
しょうがないと割り切っている人
悔しさを隠しきれずに涙を流している人
そんな中、マネージャーの私は何をするでもなく、そんな部員をただ見ていた。
ふっとコートに目をやると、立ったまま気絶という大技を現在進行形でやってのけている部長、跡部景吾。
やはりキングだ、なんて呑気に思ってみるも、やはりなんとも言えない気持ちになる。
そんな跡部の周りに集まっているレギュラー陣。
私も近寄った。
『泣いちゃダメだって!』
一番近くで大号泣していた向日岳人の背中を叩いてみる。
向「クソクソ、万南は悔しくねぇのかよっ!!」
悔しいに決まってるじゃん。
本当は誰よりも努力してきた皆を見てきたからこそ、余計悔しいよ。
鳳「万南先輩、泣いてもいいんですよ?」
泣きたい。でも、一番泣きたいのは私じゃないから。
宍「俺たちの夏も、これで終わりか…」
この全国が終わった今、3年が引退する。
本音を言えば、決勝まで氷帝テニス部として皆と一緒に過ごしたかった。
涙は止まることなくコートを濡らしていく。
涙を流し続ける彼らに私からできることは1つだけ。
『ねぇ、それよりさ………跡部写メっていい?』
「「「…は?」」」
『だってさぁ、立ったまま降臨してる人なんて人生で初めて見たし、しかもそれが跡部だよ!?超レアだよね!!』
日「先輩……υ」
『ね、皆で撮れば怖くないよ!共犯!』
私は携帯を取り出した。
跡「黙っとけば好き勝手言いやがって、アーン?」
『ぎゃっ!起きてたの!?』
跡「当たり前だろーが。俺様を何だと思ってやがる」
『氷帝テニス部カリスマ部長。ナルシストで俺様なところが玉に傷。』
跡「一言余計だ!ケンカ売ってんのか!?」
『わぁー!俺様アホ部が怒った!!逃げろー!!』
━私にできることは
忍「…アホやろ、万南」
向「プッ、やっぱ万南だな!」
日「…まったく、騒がしいですね」
芥「2人とも面白すぎだC!!」
━ただ1つ
跡「ふんっ、覚えてろよ」
樺「…ウス」
宍「ったく、激ダサだな万南のやつ」
鳳「クスッ、そうですね」
━それは……
『みんな!お疲れさま!!それと、ありがとう!!』
━皆を笑顔にさせること━
これがマネージャーの務めだから、私は皆を笑顔にさせる。
皆と一緒に、笑顔で夏を終わらせる。
みんな、お疲れさま!
ありがとう!!
《END》
皆に涙は似合わない!!