A Battle In AnotherWorld
□-異世界からの転校生U-
1ページ/2ページ
Epic16
〜*〜Side丸井〜*〜*〜
―あれから1年が経った。
“あれ”とは言わずもがな、万南が俺たちの前から姿を消した、あの日だ。
1年経ち、1ヶ月前に入学式を終えた俺たちは立海大附属高校の1年生になっていた。
俺たちは何の刺激もない日々を送った。
1年前のあの日の翌日から、万南達が現れる前の生活に戻った。
……そう、戻ったんだ。
翌日から“柏木万南”と“夢丘鈴奈”が存在していたことすら、なかったことになっていた。
ただ、幸か不幸かテニス部のレギュラーと未咲、いわゆるあの日2人の最期を見届けた数人だけは2人のことを鮮明に覚えていた。
未咲「もう、あれから1年かぁ〜…」
丸「ばばくさいな、お前」
未咲「失敬な。喧嘩売ってるの?」
丸「ははっ、冗談だよ!」
今年も去年同様クラスメイトになった未咲と話をしていたら、後ろから声が聞こえた。
幸「2人共、楽しそうだね」
丸「おぉ、幸村くん」
今年は同じクラスになった幸村くんが来た。
幸「何話してたの?」
未咲「いや、あれからもう1年経ったんだねって
幸「…あぁ、もうそんなに経ったのか」
幸村くんも、どこか懐かしげに呟いた。
未咲「あっ、そういえば、今日転校生が来るらしいよ」
丸「転校生?」
1学期が始まって1ヶ月という中途半端な時期の転校生。
それは1年経っても忘れられない、アイツを思い出させた。
幸「転校生か…そういえば確か、万南が転校してきたあの日も、こんな晴れた日だったよね」
未咲「うん…万南がいないなんて未だに信じられないよ」
しみじみと話す俺たちをよそに、今年も担任であるまっすーが元気よく教室に入ってきた。
増「よぉーし、HR始めるぞ!!」
いつにも増して元気なまっすー。
このテンションはまるで、万南が転校してきたときのテンションそのものだった。
増「皆喜べ!今日は新しいクラスメイトを紹介する!!さぁ、入れ!」
まっすーの言葉の後に、教室のドアが開いた。
教室は一瞬にして静まる。
しかし、俺は…いや、未咲も幸村くんも、入ってきた人物に目を疑った。
『転校してきました、桐原万南です。よろしくお願いします』
………嘘…だろぃ
丸「……万南…?」
未咲「っ、万南っ!!」
幸「本当に、万南…なのかい…?」
そこに立っていたのは、紛れもないアイツ。
万南が…帰ってきた。
*