SHORT
□虹
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「万南ー」
『ごめん、ブン太。今忙しいから後で』
「……」
―いつもそうよ 拗ねると君は―
『あれ、私の携帯がない。ブン太ー、知らない?』
「知らねー」
―私の大事な物を隠すでしょう―
「あ、便所行ってこよー」
『…もう。』
―その場所は 決まって同じだから 今日は先に行って待ってみるの―
「ぅわっ!何で万南がここにいんだよ!」
『やっぱり。私の携帯を隠そうとしてたでしょ』
「いや、何でだよ?」
『だってブン太、いっつもここに隠すじゃない』
―びっくりした顔で私を見つめては 急に口尖らせ プイッと外見るの―
『…ごめんね、ほったらかしで』
「…じゃあ、こっち来いよ」
―ごめんねと言うと
じゃあこっちに来てよと―
『あ、ブン太見て』
「ん?」
『ほら、影が重なってる』
―ねぇほら見て見て
影が重なった―
*