俺×ヒノエ

□例えようのない愛おしさ
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「御馳走様でしたっ!譲ママの料理今日も最高でした」
「俺はお前のママになったつもりはない」
「いいじゃん、譲きっとイイお父さんになるよ」
「お前に言われてもなぁ……」


夕餉のいつもの会話
譲は呆れた様に海翠にそう言う


「なぁ、海翠この後暇か?」


ヒノエからの誘いにキョトンと目を丸くしながら彼を見上げる


「暇だけど如何したの?」
「散歩行こうぜ」
「唐突だね」
「嫌ならいいけどさ」
「行く行く!嫌なわけないじゃん♪」


嬉しそうにヒノエにまとわりつく様はまるで犬の様だ


「あまり遅くならないうちに戻ってきなさい」
「了解ですセンセー」
「うむ」


リズヴァーンの言葉にそう返して2人は月明かりの照らす外へと出て行った
澄んだ空気に所々で鳴いている秋虫
日中は暖かいが流石に夜は冷え込む


「ヒノエちゃん寒くない?」
「別に、それよりさ、今朝の話し」
「ん?」
「まじないの話しだよ」
「ああ、それがどうかしたの?」


ゆっくりと歩きながら切り出された会話に
海翠は気にしてないとでも言う様にそう返す


「アンタの表情が気になっただけだよ」
「俺の?」
「俺の目を誤魔化せるとでも思ったわけ?」


赤い瞳が真っ直ぐに海翠を見詰める
歩みはお互いいつの間にか止まっていた


「ヒノエちゃん……」
「運命の相手が自分じゃないんだって一瞬思ったんだろ?」
「そんな事…は」
「運命とか俺には関係ないね」
「ヒノ……」


言葉を遮る様にヒノエから咬みつく様な口付けが送られ
驚きに目を見開く


「運命の人とか関係ない、俺は海翠が好きそれだけだ」
「ちょっと、傷心になっちゃってたな…」
「考え過ぎなんだよばーか」
「ホントだね……」


泣きそうな顔で笑う海翠の顎に思い切り頭突きを喰らわせる
ゴンという音と共に海翠のうめき声が漏れ顎を抑えてうずくまった


「痛ってぇー…ヒノエちゃんの石頭ぁ〜」
「辛気臭い顔すんな!アンタはいつもみたいに笑ってりゃいいんだよ!」


胸倉を掴まれそうまくしたてられる
あまりの痛さにチョコレート色が涙に歪んでいる
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