俺×ヒノエ

□例えようのない愛おしさ
3ページ/6ページ

「あ、ごめんね、大丈夫??」
「なんか、知盛の言ってた言葉納得した」
「どー言う意味よ!それ!」
「先輩が綺麗で可愛いって意味でーす」
「もー、海翠君嘘ばっかりいってー」


悪戯っ子の様に笑う海翠をじっとヒノエは見つめる


「恋煩いですかヒノエ」
「アンタには関係ないだろ?」


からかい半分に言った弁慶の言葉にヒノエはうっとおしそうにそう返す


「恋するの乙女の顔を君もする様に成りましたか」
「それ以上言うとその口塞ぐよ?」
「おや?そんな事君に出来るんですか?僕に勝ったこと一度も無いでしょう?」


黒い笑みを浮かべてそう言う弁慶に悔しさが募る
事実彼に一度たりとも勝ったことはない
いつも一瞬の隙を突かれ敗北していた


「アンタ一体何企んでんだよ……」
「なに2人で話してんのー?」


人懐っこい笑みを浮かべて近寄って来た海翠に弁慶の口端がつり上がる


「そう言えば僕の教えたおまじないまだやってるんですか?」
「んぅ?弁慶が教えたおまじない?」


その言葉に興味を持った海翠がチョコレート色の瞳を弁慶に向ける


「ええ、僕の教えて上げた恋のおまじないですよ」
「どの口が言ってんだかこの大嘘つき」


忌々しそうに弁慶を睨みつけるもそんな些細な事などどこ吹く風
そして、そっとヒノエのみつあみを指に絡ませた


「とか何とか言ってしっかりやってるじゃないですか」
「アンタの所為で癖になってんだから仕方ねーだろ!此の詐欺師」
「ホントに口が悪いですねクソガキ」
「弁慶って…本当に荒法師だったんだね……」
「なんですかその言い方は」
「いや、ね、所でなんでそれが恋のおまじないなの?」


前から可愛いなって思ってたんだよねー
と、ニコニコと笑みを浮かべて言う海翠に頬を僅かに朱に染めてヒノエはそっぽを向く


「みつあみをしてずっと解かないでいると運命の人と出逢えるという…まぁ、迷信ですよね、一時流行ったんですよ」
「あ?俺の時はただ単に可愛いからってだけで嘘ついたって……」
「んなの、嘘に決まってんじゃないですか、ホントに君はおバカさんですねぇ」
「てめぇ……」


クスクスと笑いながら小馬鹿にしたようにヒノエを見る
こんな叔父に弄られた押された挙句、今のヒノエが居るのかと納得したように頷く


「で、叶ったの?」
「いいえ、無効になってしまいました」


すがすがしい程の笑みになーんだと残念そうに肩を落とす海翠
それに弁慶は首を傾げた


「おや?随分残念そうですね」
「へ?うや、そんな事ないっすよ?」


弁慶の言葉に直ぐに笑顔になってそう話す
そんな海翠をヒノエはただ、ジッと見つめていた
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ