誇り高きシンドリアの梟
□すれ違い
1ページ/6ページ
「入れ」
扉をノックすれば優しい声が聞こえた
珍しくまじめに仕事してる
「失礼します」
一言断りを入れて中に入る
「如何した?不憫でもあったか?」
「あーいえ、差し入れです」
「??」
そう言ってチョコレートの入った器を机の上に置く
「可愛いなハートか?」
「うっさい、形がそれしかなかったの」
くすくすと笑ってシンは一つ食べる
まぁ、余計なものは入れてないから美味しいはず
「柑橘系のジャムか何か入れたか?」
「オレンジのジャムは入れたけど。。。お、美味しくなかった?」
「いや、美味しいよ」
そう言ってふわりと笑う
ああ、この王様スマイルに世の女性は騙されるのか。。。
「ん?どうした??」
「いえ、その笑顔に世の女性は皆騙されるんだなーって」
「酷いことを言うな……」
「いえ、すみません」
でも、私はこの人の本性を知ってる
人が考える“優しい王様”なんて幻想に過ぎない
この人はどんな人よりも残酷だ
そして、どの国の王よりも国の未来を第一に考えてる
優しくて、残酷な王様
それがこの人の本性