青エク
□遠距離恋愛
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「今日俺可愛い女の子と一緒に喫茶店行って来たんやけど…絶対あの子俺に気ぃある」
「へぇ。あ、でもアンタ下心がもろ顔に出るから気をつけなね。因みにあたし今日告白されたの」
「答えどしたん?」
「ま、ノーだよね。つーかタイプじゃない。」
「俺は取り敢えず女の子やったらOKしてまうな」
「それが彼女に言う台詞ですか」
「それが彼氏に言う台詞ですか」
「まーいいや。電話代でまた怒られるから切るね」
「おー。ほなな、愛理。」
親指を下にスライドさせる。通話時間2分36秒。あたしたちの会話は基本これ位。今日何があったか。今日の昼飯は。明日の授業は。元気ですか?たったそれだけ。されどそれだけ。一言、一言交わすだけでもあたしには重要な意味を為す。
少女漫画みたいな恋愛はむいてない。甘くて甘くて、あんなに甘くちゃあ水に浮気しちゃうから。あたし達は冗談交えて、たまに喧嘩して、遠くたって近くに感じて、そうやって笑っていきたい。それがあたし達。恋愛に慣れてるわけじゃあないんだ。手探り状態なんだ、まだ。
不意に着信音。携帯を手に取ると表示された漢字4つ。あれ珍しい。
<<<遠距離恋愛>>>
「どったの、なんか忘れたわけ?」
「いや大したことやないけど」
「なんすかー志摩廉造くーん」
「今日も今日とてお前を愛してる!」
「ぷっ、くっさい台詞。虫嫌いが治ったらあたしも同じこと言ってあげるよ」
「うっ」
今すぐに言えないのはね、顔が熱くて熱くて仕方ないから。