青エク
□愛[哀]故の自傷行為
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「ごめん、ごめんね、」
何かをどうしようもなく傷つけたくなる時がある。
唇を強く噛んでもおさまらない。
爪を噛んでもおさまらない。
腕に爪をたてたりもしてみるのだけど、やっぱりどうしようもなくて、電球の光に白く反射する刃物を取り出した。
手首に当てる。夏の蒸し暑い気候とは反対に、金属だからだろうか、ひんやりと冷たい。そして、その冷たさに落ち着く自分が居た。右手にぐいと力を込める…その直前にぴるる、高い音と低いバイブ音が聞こえて、それはもう驚いた。あんまり驚いたものだから、右手から落ちた折り畳み式のナイフがかたんと床に傷をつけた。
腕を抱き込む。自分の震えが伝わってくるだなんて、口角が釣り上がるのがわかった。
「もしもし」
「…愛理?」
「こんばんは、燐」
「寝てたか?」
「んーん。どうしたの」
「いや、なんつーか、さ。死にたがりは寂しがりなんだっつーからよ」
「知ってたの?」
「知ってるよ」
携帯電話が通話により熱を持っていく気がする。あくまで気がするだけではあるけれど、右手がじわりと嫌な湿り気を帯びる。
(嫌われた、かもしれない)
「傷つけんなよ。」
「どうして、」
「俺が痛い。傷つけたくなったら、呼べ。駆け付けるから」
「傷つけちゃうかもよ」
「いいよ、別に」
ぷつりと切れた携帯電話を見つめる。ディスプレイの通話時間やらデジタル時計の文字が歪んでいく。次第に光を失うディスプレイに映る己の顔の醜いこと、醜いこと。
<<<愛[哀]故の自傷行為>>>
(燐、ダメだよ)
(私、燐のこと考えると酷く何かを痛め付けたくなるんだもん)
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こういうの初めて書いた(笑)