夢制作

□腹黒リズム
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腹黒リズム    二話


今日は普通に授業。
春ちゃんは3組らしいから、行く途中で別れた。
教室は昨日みた時より少し人が少ない。
…あんまり考えたくないけど、自殺してしまう人もいるみたい。

席に座ると、後ろの席の子が話しかけてきた。

「おはよー
…今日って蝕ないよね?」

『無いよ。
雨だからねー良かった良かった!』

女の子は比良坂アイラちゃんという子で、仲良くなった。
アイラちゃんの友達の六道くん、日向くんとも喋って、一気に人脈が広がった気がする。
三人ともしっかりとした生きる意思?みたいなのが感じられた。
私もしっかりしないとね!







「名前さーん!」

『ん、エコちゃんどしたの?』

同じクラスの正田エコちゃんが話かけてきた。

「係が決まったので、伝達係の私が皆に言ってまわってるんです!」

『ふーん…
なんか普通の学校っぽい…』

「すこし安心しますよね、普通って。
あ、それで名前さんの係は図書係です!
アイラさんと一緒ですね!」

『んんと、何をすればいいんだろ?』

「図書の貸出、図書室の管理とかですかね?
けっこう広い図書室みたいですよ〜」



というわけで、私はアイラちゃんと、図書室に行くことにした。
今日、図書係の集まりがあるらしい。
そこで当番の曜日を決めるそうだ。

重厚な扉を開けると、たくさんの本がところ狭しとおかれた空間が広がる。

『ごほっ!
すごく埃っぽい…』

「だね…」

貸出カウンターへ行くと、三人集まっていた。

…!?
なんか瓜二つの人がいる…。
メガネでかろうじて見分けられるけど…

「俺は佐伯北斗。」

「佐伯南斗だ。」

『…あ、同じクラスの双子くんか!
私は名無しの名前!よろしく』

「私は比良坂アイラ。よろしくね!」

そして、最後の一人は…

「僕は潤目春臣。よろしく。」

…金髪の美少年がいる…!!
目が綺麗な青だよ!!
ん…あれ…?

『潤目君と、私、どっかで会ったことあるっけ?』

すごく懐かしい…いや、違うな…けっこう最近…?

「…いや?
君の事、よく覚えてないけど。」

首を傾げる潤目君。
うーん…気のせい?

「…名前ちゃん、潤目君のこと気になるの?」

アイラちゃんが小さな声で、ニヤニヤしながら聞く。

『え、いやっ!違う違う!!』

慌てて叫ぶ。
すると双子が

「うるさいぞ、名無しの。」

「図書室では静かにしろ、名無しの」

と、口々に言う。

『ご、ごめん…。』




そんなこんなで日替わりで図書室の管理をする事になった。
朝と昼休憩の時に来て、貸出と整理整頓をする。
私は月、火、水曜日を潤目君と担当になった。
…本当はアイラちゃんとやりたかったのだけど、
女子どうしだと、しゃべりまくって仕事にならないかもしれないから
と双子に言われ、別れた。
決めつけて欲しくなかったけど、まぁ確かに喋りまくってしまうだろう。

「よろしくね、名無しのさん。」

『う、うん。
よろしく、潤目君!』

にっこりと笑う潤目君にやっぱりどこか引っかかりを覚えつつ、今日は火曜日だから、そのまま二人で仕事に取り掛かる事になった。

といっても、貸出にくる人なんかほとんどいない。
まだ入学して間もないし、みんな蝕の事で頭がいっぱいだろう。
そんな訳でカウンターには行かず、はたきで埃を落とす作業に徹した。

「名無しのさんはどんな文字なの?」

はたきで埃を払いながら潤目君が言った。

『破壊の破だよ。
可愛げ無いよね〜』

潤目君はそれを聞くと、肩を震わせて笑った。
よほどツボに入ったのか、腹を抱えている。

「破壊の破って…!
ずいぶん露骨だなぁ!
まぁでも戦う為の文字だから、その位大袈裟で良いのかも。」

『…そういう潤目君は?』

潤目君は少し微笑する。
うわぁ。絵になるなぁ。

「それは秘密。
後のお楽しみってことで。」

…そんな感じで潤目君とは仲良くなった。
優しいし、物腰柔らかいし。
王子様みたいな感じだ。
図書室にいる時間はそんなに長くなかったけれど、潤目君に惹かれた。すごく理想の人だ。





『ただいま〜。春ちゃんいる?』

係の仕事を終えて部屋に戻ると春ちゃんも今帰ってきた所のようで、手を洗っていた。

「おかえり、名前ちゃん!
係の仕事どうだった?」

『なかなか順調!
潤目君っていうかっこいい男子もいたし!すごく私の理想に近い!』

「…へぇ〜よかったね!!」

春ちゃんが微笑する。
…あ。

『…潤目君誰かに似てるなって思ってたら、春ちゃんに似てるんだ!』

「!
…そう。私に似てるのか〜!」

春ちゃんは面白そうに笑った。
…今度合わせてあげたいな。
あれ?ていうか、係の仕事がある事をどうして春ちゃんが知ってるんだろう?

『ねぇ、春ちゃんどうして係の仕ご…!』

「!」

言いかけたら辺りが光った。
ー蝕だ。







補足

アイラちゃんが双子と会うのって龍の蝕の時がはじめてなのですが、都合により早めました。すいません。
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