夢制作

□蒼い背中。
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蒼い背中   二話


「よろしくお願いします!
オレは藤木コウタです!」

「俺は宮田大地です。
よろしく、先輩。」


本日、新型神機使い二人がこの極東支部にやってきた。

『第一部隊っていったら私より格段に精鋭部隊だけど…後輩は後輩!嬉しいな!』

思わず笑みがこぼれる。

と、藤木君が、

「うわっ!すっげえ可愛い先輩だ!
俺も第二部隊入りたかった〜!」

そうぼやいた。
視線の先にはカノンちゃん。
うん。今日も相変わらず確かに可愛い。

「…俺は名前先輩の方が好みだな。
ご指導よろしくお願いしますね。」

大地君はそう言って私にニコリと笑いかけた。
大地君はなかなかのイケメンだ。まぁ私はブレンダンが好きだからなびきはしないのだが、少し照れてしまう。

『も、もう!
先輩をお世辞でからかわない!!』

「お世辞じゃないですよ?
先輩。」

『ー〜〜!!』

真っ赤になっていると、

「名前。」

と、ブレンダンが少し離れた所で手招きした。
人と話してる時に呼ぶなんて珍しいなと、思いつつ、

『じゃあお互い頑張ろう!』

と大地君に言って、ブレンダンの方へ行く。

『うん?どうかした?ブレンダン。』

「あ、いや、その…」

困ったように眉根をさげて、口ごもるブレンダン。

『…?どうかした?
体調でも悪い?』

「…いや…。
あ、キーホルダーを作ったんだが、もらってくれるか?」

と、思い出したように言う。

『え!?私にくれるの?』

「あんまり上手くはないんだが…」

ブレンダンはポケットからプレートを取り出した。

『これ…フェンリルのマーク!?』

プレートはオオカミの形にくり抜かれている。

「お、わかってくれたか!」

ブレンダンは嬉しそうにくしゃりと笑った。

こういう所が好きなんだよね。
真面目で、自分をしっかりもってて。
だけど、犬や子供みたいに柔和に笑う。
私もつられて笑顔になる。

『本当に私がもらって良いの?』

「あぁ、気にするな。俺のもちゃんと作ってるから。」

お揃い。
きっとブレンダンにとっては何て事ないんだろうけど、私はすごく嬉しい。

『ありがとう、大事にする!』







この極東支部に新人が二人来た。
それ自体は負担がへり、喜ばしい事だが、名前と新人の宮田を見ると、なんだかモヤモヤした。
宮田が微笑んで何かを言い、名前が顔を真っ赤にして照れている。
モヤモヤの正体に気付くよりはやく、オレは名前を呼んでいた。
人が話している時に話す何てオレらしくない。
名前も不思議そうにこちらを見たが、すぐに来た。

何を話せばいいか分からなくなって、結局、キーホルダーをもっていた事に気がついた。
丁度良かったので名前に渡すと、ふわりと笑顔を浮かべる。
いつもは粗雑な振る舞いで、言葉も最近は男らしくなった名前。
多分この仕事の影響だろう。
だが笑顔だけは変わらない。
小さい頃からずっと変わらずオレに笑いかけてくれる。

だから俺は絶対に名前を失いたくない。
殺伐としたこの世界で唯一かわらず俺の側にいてくれる女の子。

絶対に、守るよ。
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