夢制作

□蒼い背中。
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蒼い背中    三話


『え、エリックが…?!』

「…あぁ。オウガテイルに突然頭を襲われて…。」

任務から帰るとアナグラ内は静かで、私は誰かが死んだのを悟った。
エリックの訃報を私に伝えたのはブレンダンだった。

『…そ、か…。』

よくトイレを詰まらせたり、少しナルシストだったり、それでも家族を大切にしていて…。

エリックとは特別親しかったわけでは無いが、それでも、辛い。

「名前…。」

うつむく私の頭をブレンダンがやさしく撫でた。
そういえば、小さい頃も、泣いたらブレンダンが頭を撫でてくれてたっけ。

『…ごめん。大丈夫。
明日は我が身、そういう世界だからいい加減慣れないとね。』

こんなことはよくある事。
そう自分にそう言い聞かせて平気だと思わないと、狂ってしまいそう。

「…いや、人の死に慣れてはいけないよ、名前。
…そんな事に慣れたら俺たちはもう、アラガミを狩るただの人形だ。」

ブレンダンがやさしく諭す。

『…うん…そうだよね。
ありがとう、ブレンダン。』

自分も思っていたことをブレンダンが言ってくれて安心した。

「…おっと、任務に行く予定だったんだ!
…行ってくる。」

ブレンダンが時計を見て言う。

『ーっ!なら私も…』

「…心配いらない。軽い任務だからな。
それに名前、さっき任務から帰ってきたばかりじゃないか。」

苦笑するブレンダン。

『…気をつけてね』

ブレンダンは犬みたいにくしゃりと笑うと、任務へ向かった。
私の大好きな背中が遠くなる。

エリックの事もあって、何だか不安になる。
ブレンダンがもし、任務の途中でいなくなったら、
考えただけで怖くなって、身体を抱き込むように腕をさする。

大丈夫。大丈夫。
今も昔も、何度も言い聞かせた。
ブレンダンは私が死なせない。
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