変態女と加藤くん

□授業中なう。
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授業中なう。


ここは蝕というおかしなシステムがあるが、それら以外は普通の学校のため、普通に授業がある…の…だが。


『んふふっ、うーん…ぐへへ!』

「……。」


何の因果かオレの隣の席はあの変態である。

そして今は授業中なのだが、オレが授業に集中しだしたら暇になったのか、のん気に寝始めている。


顔が整っているので寝顔は綺麗なのだが、寝言が五月蝿い。


『うー…。加藤きゅんしゅきだぁぁ…。結婚してぇぇ…。』

「…。」


声が小さいならまだ良いのだが、こいつの寝言はでかい。
さっきから日向や六道達が、好奇あるいは怪訝な目でこちらをみてくる。


オレだって好きでこうなっているわけではないし、この変態がオレを好きな理由も分からないのだ。


「…まったく。」

いいかげんにしてくれ、と変態の鼻をつまむ。

『…ぷぎゅる。』


鼻から息が出来なくなって苦しいのか、奴は変な声をあげる。


おもわずフッっと笑ってしまう。
すると、周りからの視線がオレに突き刺さった。


そこで気づいた。寝言が聞こえてない、もしくは、食堂での出来事を知らない生徒にオレがどううつるか。


寝言がでかいとは言ったが流石に教室全体に響き渡るほどでは無い。


つまりこの変態を変態だと知らない生徒は、

加藤という男子が隣の可愛い女子にちょっかいを出している

様にしか見えないのだ。


あわてて授業に集中するが、視線が突き刺さる。
能力を使って消えたい気分になった。



しかし、オレはその視線の中に嫉妬がある事に気付けなかった。




キーンコーンカーンコーン

『…いやっ!加藤きゅんっ!
ここ学校だよ?!
…でも加藤きゅんがいいなら…ヒブッ』

「変な寝言で誤解をまねくな。」

『うぅ…。だからって電子辞書で殴らなくても…。』

「あーはいはい分かったわ
かった。
昼だから皆食堂行ったぞ。
あ、あと、お前が寝てた時のノート。」

『加藤きゅん…なんだかんだいって優しいよねっ!』

「ばっっ!優しくねーよ!
ノート返してもらうぞ!」

『やだやだやだ渡さないからね!
このノートからは加藤きゅんの指紋とかとって、思う存分はすはすくんかくんかしたら返すんだから!!』

「本気で貸したくなくなる様なこと言うなよ…。」

『嫌だなぁ〜ペロペロまではしないよ〜?
グシャグシャになっちゃうから!!』

「気持ち悪い」

『ひどい!』

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