中編てきなもの

□二人と一人と
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「よぉ」

「何だ貴様か」

「いつも通りの素っ気ない返事ありがとう」

「何をしに来た」

「んー、別に何も」

「ならば帰れ」

「ひっでーセイナ」

「・・・」

「何か不機嫌そうだね」

「貴様のそのふざけた面を見るとな」

「本当にひどいね。つーか同じ顔で同じ体なんだけど」

「そんな事分かっている」

「ふーん。もっと否定するかと思ってたよ」

「事実を否定することに意義などないだろう」

「無駄は省くタイプ?」

「それとも意味が違うだろう」

「ハハハ。にしてもウチのことそんなに嫌いか」

「当然だ。お前も私が嫌いだろう」

「ざっくりとした答えだな。心が傷ついた」

「貴様に心などあるのか」

「もちー」

「・・・」

「何か言いたげじゃん。どしたの?」

「何故貴様は笑っている」

「面白いから」

「どこが?」

「色んなことだよ」

「そんな風に貴様は曖昧な事を言って偽り続けているのか」

「偽る?何を?」

「本当は常に笑う事で自らの感情を他人に見せないようにしているだけだろう」

「・・・」

「本当の自分はただの狂気にまみれた人間。それを知れば周囲の者がどう思うか知れない。だから常に笑っている」

「へー・・・嫌いな割にはよくウチのこと知ってんね」

「付き合いだけは長いからな」

「でもさ、セイナも同じじゃないかな。まぁそちらさんの場合常に無表情だけど」

「何が言いたい」

「そんな深いこと言おうとしてないさ。ただウチ等は同じってことを言いたいの」

「同じ?」

「うん」

「ふざけるな」

「ふざけてないよ」

「似ている?貴様のような甘い人間と?偽善者と?」

「ひどい言われ様っすね」

「正論だ」

「・・・元は同じ体なんスけど」

「で、貴様はその体を取り戻しに来たのか」

「ありゃー?気づいていたかい?」

「帯刀しているところを見ればな」

「抵抗する?」

「いや」

「そっか。セイナにとっちゃようやく死ねるんだもんね」

「あぁ。やっとだ」

「そういう死にたがりなところがウチは嫌いだよ」

「だろうな」

「・・・それじゃ」
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