中編てきなもの

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「にしても、ブラックサンタが物盗まなくてよかったっすね」

「ブラックサンタは物も盗むのかよ」

「はい。しかも人の大切なものを」

ただの最低な奴だな

ハハハ。
何を今さら

「檜佐木さんの盗まれたくない物って何かありますか?」

「全部だよ」

「ですよねー。聞き方が悪かったっす。大切な物って何すか?」

「・・・なんだろうなー・・・」

「ちなみにブラックサンタはその人が大切に思っている人もさらいます」

「人さらいじゃねぇか!」

「もはやサンタと名乗らせたくないですね」

普通サンタってのは子供に夢を与えるもんだろう!

「まぁそれは置いといて、檜佐木さんは何を盗まれたくないんですか?人でも物でもいいですよ」

「じゃあ九番隊の奴ら」

「・・・」

「・・・何だよ、じっと見て」

「何なんすかあんたは」

「は?」

上司の鏡かっ!!

「何でそのセリフを言いながら怒るんだよ?」

だってぇ?
どんだけ隊の事を思っているんだこの人は。

涙が出そうだよ。

いや、実際は出ないけど。

「そういう蒼はどうなんだ?」

「・・・え?あー・・・ウチも九番隊のみんなとか、もちろん檜佐木さんもですよ」

「似たようなもんじゃねぇか」

「ウチのには檜佐木さん付きですー」

「何か俺の扱いが物みてぇに・・・」

「そんなことはないです」

んな落ち込まないでくださいよ。

「蒼にはもう一つ大切な物があるじゃねぇか」

「?何スか?」

「その腕輪」

檜佐木さんがウチの左手首で光っている銀色の腕輪を指差す。

「あー、毎日はめてるから大切さを忘れてた」

灯台下暗しとはこの事か。

この前なんてこの腕輪はめて風呂入ろうとしたから。
錆びるよね、そんなことしたら。

「・・・それ、相馬さんから貰ったもんだろ」

「!檜佐木さんって相馬さんのこと知ってたんですか」

「まぁ先輩だったし、それにあの人の性格だから色んなところで名前が出てたんだぜ?」

「あぁ、確かに」

「しかもよく俺は一緒に飲みに行ったしな」

「へー。何話してたんです?」

「色々」

「もっと具体的にっすよ」

「本当に色々話したんだって。・・・あ、蒼が八番隊に入ってからはちょくちょくお前の事話してたぞ」

「マジですか」

「うん。かわいい部下が出来たって自慢してたな」

「・・・」

なんか・・・恥ずかしいというか、嬉しいというか、だ。

「照れたか」

「うるさいっす」

「へーへー」

「じゃあこの腕輪は相馬さんがあげたってことも聞いたんですか?」

「いや。なんとなくそんな気がしたから」

「勘?」

「んー、大体そんな感じだな」

まぁ多分檜佐木さんの事だしウチのこと見てれば大抵分かるんだろうな。

はぁー・・・。

この人にはあいつ≠フ事を知られたくない。
でももうばれてるかもしれない。
それがものすごく嫌だ。

いや、
もしかしたら心の奥底ではこの人にだけはあいつ≠フ事を話したいのかもしれない。
この人なら救ってくれるかもしれない。
そう願ってるのかもしれない。

・・・。

なーんてね。

あーあ。
あいつ≠フ根暗が移ったかなー。

「?どうした?蒼」

「えっ?なんかなー、檜佐木さんを見てると・・・」

「何だよ」

「相馬さんを思い出す」

「はぁ?」

「なんか似てるんすよ」

「どこが?」

「んー・・・そう言われると・・・雰囲気?」

疑問形で返すな

「でも、似てるんです。そこは保証しますよ」

「いらねぇよそんな保証」

でも面影はあるんだよなー・・・。
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