中編てきなモノ

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〜ある日・百瀬家〜

よっと・・・。
ウチはちょくちょくクロん家に塀をよじ登って入る。
今もそうして入った。

不法侵入って言わないでね。

百瀬家の人みんなウチのこと知ってるから大丈夫なんだよ、きっと。

さて、昼飯をいただくか。

「あのさぁ、」

「これは蒼様!・・・お昼ですか?」

「察しがいいねー。というか、その様付けはやめようよ」

ウチはそんなに偉くないし。

「いえ、それは」

「いーからいーから」

「・・・・・では、蒼、さん、お食事はこちらです」

「はいはーい」

ちゃんと付いて行くと、何とも豪勢な食事が用意されてある部屋に着いた。

「どうぞ」

「ありがとね」

そのまま座布団の上に座り

「いっただっきまーす」

んー、いつも思うけどうめー!
本当にクロには感謝だぜ。

まぁこのことクロは知らないけど。

……
………
…………

「ごちそうさまでしたっと」

あー、満腹。

ありがとうございました。

「ん?」

今気づいたが、弓が部屋に飾ってあった。

弓、ねぇ・・・・。

ちょっと触ってみたいな。
出来ることなら試し打ちもしたい。

「蒼さん?」

「えっ?・・・ってクロのお母さん!?」

後ろを振り返ったらクロのお母さんがいたよ。
予想外すぎてマジでビビった

「その弓が気になりますか?」

「あぁ、はい・・・」

いやー、貴族だよ、貴族!
別にクロとか朽木隊長はいいけど、ねぇ?
めっちゃドギマギする。

「その弓は我が百瀬家の家宝の一つなのですが」

さっき触ろうとした奴、手を挙げろ。
その上で土下座して詫びろ。

家宝を試し打ちしたいなーなんて考えて申し訳ありませんでしたー!!

「触ってみますか?」

「えっいいんですか?」

「はい。もう弓を扱う者がいなくなってしまって・・・。たまには使っていただいた方が、この弓も嬉しいでしょう」

「そう、ですか・・・・。じゃあ、」

カツッ

普通のよりちょっと大ぶりな弓。

「ふーん・・・。ちょっと癖が強い、かな。素人じゃ扱いにくい代物っぽい」

弓を引いたりしながらブツブツと話す。

「良かったら、撃ってみますか?」

「はい?」

「庭に的がありますので・・・」

いやいや、そういう意味じゃなくてですね?
家宝ですよね?
こんなウチみたいな奴が使っちゃっていいのかな?

確かにもう触っちゃったけどさぁ・・・。

なんて考えてたらクロのお母さんは先に行っちゃうし。

まぁ、いい、のか。

庭には確かに弓用の的があった。

ウチは矢を受け取って、的から離れたところに立つ。

で、弓を引き狙いを定めて・・・・

ヒュンッ

トンッ

矢は的には当たったものの真ん中からは外れた。

久しぶりだししょうがないか。

「蒼さんは弓がお上手なのですね」

「いや、そんなにうまいって訳では・・・」

今のを見ていたクロのお母さんが話しかけてきた。

「誰かに習われたのですか?」

「あぁ、はい。昔上司に」

「そうですか。その方はよっぽど弓がお上手だったんですね」

「はい・・すごく、上手かったですよ・・・・」

本当に上手くて、

『貫け[罪ト罰]!!』

あの漆黒の弓を操ってた。

「あっ今日はありがとうございました。あのー、もし良かったらまたこの弓使わせていただいてもよろしいでしょうか?」

「えぇ、もちろん」

「ありがとうございます。では」

弓を女官さんに預けて、また塀をよじ登って九番隊に戻っていった。
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